次期中給システム導入によるさまざまな効果のうち、経済的に分かりやすい効果が得られるのが、SCUC・SCEDによる需給調整に係る費用の低減である。
図3のように、現在も再エネ抑制の低減を目的としたエリア間の融通を実施しているが、現在の中給システムは再エネ抑制や混雑処理に必要な情報を他エリアとオンラインで送受していないため、各エリアがオフライン処理したデータを広域機関が集約し、融通量を決定している。このように、オフライン系の処理を全エリアに対して行う必要があるため、再エネ抑制の低減を目的とした他エリアとの融通は前日時点で行っている。
また先述の通り、KJCにより全国メリットオーダー(MO)を実施しているが、エリア内混雑は未考慮である。
次期中給システムは、全エリアの再エネ抑制と混雑処理(原則上位2電圧)に必要となる情報をオンラインでリアルタイムに送受信し、混雑処理・再エネ抑制・MOの処理を全国大で、一括で行うことが可能となる。
この一括処理により、次期中給システムではゲートクローズ(GC)付近(実需給の約1.5時間前〜GC後)まで全国MOに基づくSCUCを実施し、再エネ抑制を最小化させる。さらに実需給直前(5分前)まで全国MOに基づくSCEDを行うことで、需給調整に係る費用の低減を図ることとしている。混雑処理費用の低減が進むことにより、系統増強時期の繰り延べや既存設備の有効利用が可能となる。
労働人口減少やDXの進展を背景に、電力業界でもシステム人材ニーズは一層高まっており、国内企業全体で人材確保に向けた競争が加速している。現在は中給システムを10エリアで個別に運用しているが、各社で仕様が異なるため、人材や知見が分散し、横断的な知見の蓄積や活用が難航するおそれがある。
次期中給システムの構築を通じてシステムを統合し、人材を集約化することにより、人材確保リスクの緩和に加え、効率的な機能改修、知見の蓄積・活用、長期的な人材育成、より高度なシステム開発が可能になると期待されている。
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