オゾン層保護のため、日本をはじめとする世界各国では、特定フロンから、オゾン層を破壊しない「代替フロン」(HFCs)への転換を進めてきた。ところが代替フロンのGWP(地球温暖化係数:CO2を1とした場合の温暖化影響の強さを表す値)は非常に大きく、二酸化炭素の数十倍から1万倍以上の大きな温室効果を持つ(なお、特定フロンも強力な温室効果ガスである)。
2023年度(現時点の最新確定値)におけるHFCsの排出量は約3,170万t(CO2換算)であり、日本全体のGHG排出量の約3%を占めている。HFCsの排出量は、オゾン層保護法に基づく規制等により2022年以降減少に転じたが、地球温暖化対策計画における2030年・2040年の削減目標の達成に向けて、まだ大きなギャップが残されている。なお図5の数値は、「地球温暖化対策計画」2025年2月策定時の目標値から、排出量の算定方法の見直しにより、変更されたものである。
HFCs(代替フロン)排出量の機器の種類別内訳としては、業務用エアコンが約31%、家庭用エアコンが約30%と多く、次いで業務用冷蔵冷凍機器が約21%となっている。機器のライフサイクル段階別の内訳は、使用時が約41%、廃棄時が約48%となっている。これら機器種類別・ライフサイクル段階別の内訳をクロス集計すると、「家庭用エアコン・廃棄時」が最大の約23 %となっている。
機器の廃棄時におけるHFCsの大気放出を避けるためには、HFCs使用機器を適切に回収し、冷媒を回収する必要がある。地球温暖化対策計画では、業務用エアコン・冷蔵冷凍機器廃棄時のHFCs回収率目標を、台数ベースで2025年に70%、2030年に85%、冷媒量ベースで2025年に60%、2030年に75%としているが、2024年の回収率実績は冷媒量ベースでは4割程度に留まる。
業務用機器の廃棄時の回収率向上のため、2021年2月の建設リサイクル法の届出様式改正により、業務用エアコン・冷蔵冷凍機器の有無について記載する欄が追加された。また、自治体による建物解体現場への立入検査は年間約1,600件実施されている。
現在、建設リサイクル法届出対象工事のうち、フロン排出抑制法での事前説明の対象は「解体工事」のみであるが、修繕・模様替等工事においても、フロン使用機器の事前調査・事前説明を義務化することが有効と考えられる。
家電リサイクル法において、小売業者は消費者からの家庭用エアコンの引取義務およびメーカー(指定引取場所)への引渡義務が課されている。ただし、図7のように廃棄エアコンのかなりの台数が冷媒フロンを回収せずに不適正に処分していると考えられている。
家電製品協会では、フロン排出抑制法の「みだり放出禁止」規定の対象に家庭用エアコンを追加し、フロンみだり放出に対して厳罰化することを要望している。
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