フロン類が大気に放出される第二の原因が、機器使用時の漏洩である。フロン排出抑制法では、業務用冷凍空調機器の管理者に対して、機器の点検、点検記録等の保存等を義務付けており、フロン類漏洩量が年間1,000t-CO2以上となる者に対して、算定したフロン類の漏洩量を国に報告することを義務付けている。
使用時における漏洩の主な要因は、機器内部の接合部や配管の接続部に起因するものであり、施工品質の向上と並び、漏洩の早期発見・修理が重要である。
2022年には規制改革により、常時監視(遠隔監視)システムを用いて、「簡易点検」に代えることが可能となったが、現時点の普及台数は約3万台に留まる。日本冷凍空調工業会では、常時監視システムの導入により、冷媒漏洩量約25%削減などの効果があるとして、「定期点検」においても代替可能とすることを要望している。
漏洩により冷媒量が減少すると、機器の電力消費量(電気代)が増加することが報告されている。冷媒漏洩量を抑制することは、メンテナンス時のいわゆる「サービス充塡」(冷媒の購入)費用を節減するだけでなく、電気代の抑制及び電力由来CO2排出抑制にも有効と考えられる。
使用時の漏洩抑制や機器廃棄時の回収率の向上に努めることは大前提として、より上流からの対策として、GWP(温室効果)の小さい「グリーンな冷媒」の開発が進められている。先述の図4の「使用見通し」設定値(赤線)は、現在NEDOプロジェクトなどで研究中の低GWP冷媒の開発が完了して、その冷媒への転換が進むことを織りこんだ推計となっている。
自然界に存在するCO2やアンモニア、水、空気などは自然冷媒とも呼ばれ、特定の分野ではすでに冷媒として使用されている。また分野によってはグリーン冷媒への切り替えが進んでおり、家庭用冷蔵庫ではフロン類からイソブタン(炭化水素)への切り替えが完了している。
他方、業務用や家庭用エアコンの分野では「完璧な代替物質」が存在するとは考えられておらず、可燃性や毒性などの安全性での課題や、省エネ性の低下といった課題も踏まえつつ、全体のメリット・デメリットのバランスを考慮した妥協策が必要と考えられている。
これまでフロン類排出抑制対策は、相対的に規制が容易であり、技術的知識や管理体制を有する企業等を主な対象として、一定の効果を上げてきた。今後、地球温暖化対策計画の達成やさらなる削減に向けては、年間販売台数が1,000万台規模となる家庭用エアコンの対策強化も求められる。
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