一般消費者などの需要サイドや、企業活動におけるバリューチェーン全体の脱炭素化に向けては、グリーン製品のさらなる需要喚起が課題となっている。そこで環境省では、グリーン製品・サービスに対する需要創出や、バリューチェーンのグリーン化に向けた施策を検討する検討会を新設した。
2050年カーボンニュートラルやGXの実現には、あらゆる分野のあらゆる主体における排出削減が必要とされている。大規模な事業者等に対しては、省エネ法や温対法に基づく報告制度やGX推進法に基づく排出量取引制度など、すでにさまざまな規制的措置が取られているが、一般消費者や中小企業等、規制が直接及ばない主体における排出削減をどのように進めるかが課題とされている。
現在、企業は大規模なGX投資を進めているが、一般消費者を含む需要サイドがグリーン製品・サービスの価値を評価し購入することにより、積極的なGX投資の継続が可能となる。また企業は自社のScope1,2排出量の削減だけでなく、製品のライフサイクル全体、バリューチェーンを見渡した排出削減が求められている。
このため環境省では、グリーン製品・サービスに対する需要の創出やバリューチェーンのグリーン化を検討するため、「グリーン製品の需要創出等によるバリューチェーン全体の脱炭素化に向けた検討会」を新たに設置した。
バリューチェーン排出量とは、事業者自らの排出だけでなく、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量であり、Scope1排出量(燃料燃焼等による直接排出)+Scope2排出量(電気等の使用による間接排出)+Scope3排出量(Scope1,2以外の間接排出)の合計として捉えられる。
バリューチェーンの各段階には多くの企業が存在し、取引関係でつながっているため、ある事業者のScope1,2の削減は、他者のScope3の削減となる。つまり、他事業者と連携してScope3(他者のScope1,2)排出量の削減に取り組むことは、結果としてバリューチェーン排出量の削減となり、グリーン商品・サービスの価値向上・競争力強化にもつながると考えられる。
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