現時点、グリーン製品・サービスはグリーンでない製品と比べて高価であることが通常であるため、何も施策を講じなければ普及は困難である。
このためグリーン購入法では、国の省庁や独立行政法人・国立病院・国立大学等に対して、調達方針の作成とこれに基づくグリーン商品調達の推進を義務付けており、初期需要の創出につなげている(地方公共団体等は努力義務)。
グリーン購入法基本方針では2025年1月に、より高い環境性能に基づく基準に「グリーン鉄」を追加し、愛知県東海市では、グリーン鉄を原料とするオフィス家具を地方自治体として初めて購入した。今後も公共部門では、率先垂範として、グリーン鉄関連製品の積極的な調達が期待される。
また民間部門では、GXリーグは2024年12月に「GX率先実行宣言」を開始した。宣言の対象とするGX製品には、低炭素水素やグリーン鉄、グリーンケミカル等が含まれる。
「ゴールドグレード」宣言を行った田中鉄工では、自社製品に使用する鋼材の全量を2030年までにグリーン鉄へ転換する目標を掲げている。
また、建築物ではこれまで、使用段階での「オペレーショナルカーボン」の排出削減に主眼が置かれてきたが、近年では建設段階等の「エンボディドカーボン」も含めたライフサイクルカーボン削減に向けた取り組みが進められている。例えば、グリーン鉄を建材として使用することは建築物のオペレーショナルカーボンには影響しないが、アップフロントカーボンの大きな削減につながるものとなる。
建築物ライフサイクルカーボン削減に向けた取り組みは、グリーン鉄だけでなく、さまざまなグリーン製品・サービスの需要創出につながると期待される。
「グリーン製品の需要創出等によるバリューチェーン全体の脱炭素化に向けた検討会」では、夏頃までに4回程度の会合を開催し、中間取りまとめを行う予定としている。
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製品のGX価値評価に新指標、新たに登場する「削減実績量」の定義と運用方法とは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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