子田(東京都千代田区)、テクノナガイソラーレ(新潟市)などの企業が、不動産会社の店頭のように低圧案件を掲示し、来場者の関心を引いた。子田は、造成工事から電気工事まで自社施工であることをアピール。テクノナガイソラーレは、各地のEPC企業と協力して、用地開発、建設工事、アグリゲーターの紹介を行っていることを強調した。
また、アースコム(埼玉県越谷市)は、表面利回り20.3%というシミュレーションと「即時償却可能」を掲げ、低圧蓄電所事業への先行投資を呼びかけた。
エンブルー(東京都千代田区)は、投資方針や事業形態に合わせて、多様な購入・保有スキームに対応することを強調。蓄電所を完成した状態で引き渡す完成品売買、複数の投資家の共同出資によるファンドスキーム、土地の権利のみの売買──以上の3パターンを提示する。
現状において、低圧蓄電所専用の蓄電システムという製品ジャンルが確立されているわけではない。実態としては、以前からあるキャビネット型の中規模産業用蓄電システムをベースに、そこに組み込まれたパワーコンディショナーの出力を49.9kWに制限して低圧連系の要件を満たす──という対応が取られる。
蓄電池・パワコンメーカーは各社とも、これまでの中規模産業用蓄電システムを低圧蓄電所ソリューションとして再定義し、新たな市場でのシェア獲得を目指している。今回のPV EXPOには、こうしたメーカー自体の出展はほとんどなかったが、各社の製品を扱う商社novis(京都府宇治市)のブースには、「GoodWe」「SUNGROW」「SIGENERGY」の蓄電システムが低圧系統用として並べられていた。また、これまで紹介してきた事業者の中には、「HUAWEI」の蓄電システムを採用しているところも多かった。
半年足らずでこれだけ多様なプレイヤーが集まった背景には、投資商品としての分かりやすさがある。子田やアースコムが示す利回りシミュレーションは、太陽光発電所投資と同じ感覚で個人・法人マネーを呼び込みやすい。だが会場を歩いて見えてきたのは、その投資商品を実際に機能させる担い手──低圧蓄電所を束ねてVPPとして運用できるアグリゲーターが、まだ数えるほどしかいないという事実だ。Tensor Energyのような専業プレイヤーが立ち上がりつつある一方で、多くの案件は「売る側」の熱量に対して「動かす側」の体制整備が追いついていない。
制度上の猶予も長くは続かない。JC-STARの対応期限は高圧より長いとはいえ、2027年10月はもう1年後にやってくる。接続申し込みの集中による手続き遅延も解消のめどが立っていない。そして何より、実際にVPPとして運用し、需給調整市場で収益を上げるのはこれからだ(2026年9月11日現在)。
ブームの様相を呈している低圧蓄電所だが、事業としてはまだ「案件を作る段階」にあり、「束ねて運用し、実際に収益を上げる段階」には到達していない。2026年秋以降、この差を埋められるかどうかが、低圧蓄電所市場の本当の勝負になる。
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