総合エンタメサイト「クランクイン!」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、クランクイン!より転載しています)。
『モンスターズ/地球外生命体』のギャレス・エドワース、『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン、『ミッション:8ミニッツ』のダンカン・ジョーンズ、『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス、『Chronicle(原題)』のジョシュ・トランクなど、ハリウッドでは新たなヒットメーカーが続々と誕生している。エドワースはハリウッド版『ゴジラ』リブート作(2014年米公開予定)、トランクは『ファンタスティック・フォー』リブート作(2015年米公開予定)と、超大作の監督にも抜てきされ、ハリウッドのヒットメーカー層は着実に厚みを増した。
では、日本の映画業界はどうだろうか。今後の映画界を背負えそうな期待の監督をリサーチしてみた。
まず、高い注目度を誇るのが、失敗で終わることが多い人気コミックの実写化を、見事興収30億円のヒットに導いた大友啓史だ。彼は長回しや外連味あふれる演出を得意とし、ロケを重視することでも知られている。例えば、ここでの撮影は不可能だと自治体から言われても、そこでひるむことなく腹を割って気長に話し合い、折り合える着地点を見つけるという、まさに折衝の達人。だからこそ、劇中のいち風景が新鮮に感じられ、それらの手腕は最新作『プラチナデータ』(3月16日公開)でも存分に生かされている。
次に、ドラマやベストセラー小説の映画化が大半のなか、オリジナル脚本で勝負する内田けんじ。サンフランシスコ州立大学で脚本と演出を学んできただけあって、商業映画デビュー作『運命じゃない人』はカンヌ国際映画祭のフランス作家協会賞(脚本賞)を受賞し、次作『アフタースクール』は興収6億円を記録。2012年には、堺雅人、香川照之、広末涼子を主演に迎えたコメディ作品『鍵泥棒のメソッド』を完成させたばかり。量産タイプの人物ではないため、新作が待たれている監督である。
もう1人は、『桐島、部活やめるってよ』がツイッターを中心とした口コミにより、異例のロングランを記録した吉田大八。2007年に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で長編映画監督デビューを果たした吉田は、上記のほか『クヒオ大佐』『パーマネント野ばら』と、4本しか作品を発表していないが、『桐島〜』のヒットにより、彼の次回作に注目が集まっている。
ほかにも『舟を編む』(4月13日公開)が控える『あぜ道のダンディ』の石井裕也、独特のゆるさが作品にあふれる『横道世之介』の沖田修一、低予算で制作した『歓待』が世界40カ所以上の映画祭に招待されブレイクした深田晃司、クリント・イーストウッド監督の西部劇『許されざる者』のリメイクを手がける李相日など、日本にも個性豊かな監督がズラリ。とはいえ、監督のネームバリューで人が呼べるのは、ほんの一握りだ。後々、そこに彼らが加わるようになれば、邦画業界はより屈強なものとなるだろう。
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