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外国証券データの精度向上と管理事務の効率化を実現する「IDS-DMS」ITソリューションフロンティア:ソリューション

» 2004年08月10日 00時00分 公開
[井上和久,野村総合研究所]

資産運用・管理ともに必要な時価評価

 日本の資産運用業界は、委託者から預かった資金を効率的に運用するために、関連各社がそれぞれの専門性を発揮できるような役割分担が進んできている。投資顧問会社に代表される資産運用会社は、高い運用力やリサーチ力に独自の強みをもち、運用業務や運用助言業務に特化している。一方、その運用資産の管理・保全業務を受託しているのが資産管理会社である。資産管理会社は多くの金融機関から資産管理業務を受託しはじめている。

 このように、資産運用業界は運用と管理という2つの専門領域に分かれているが、どちらの場合であっても、信頼性の高いデータを自ら収集して資産の時価評価を行う必要があるという点では共通している。資産運用会社にとって、時価評価は自らの業績を左右するパフォーマンス測定の手段そのものであり、運用成績を正しく表現するためにも正確な時価評価は重要である。また資産管理会社にとっても、時価評価は最も重要な資産管理業務のひとつであり、データ精度についてはつねに専門家として細心の注意を払わなければならない。

外国証券データ評価の現状と課題

 近年は、運用成績の向上とリスク分散のために、国内ばかりでなく海外の株式や債券など、さまざまな形での資産運用が進んでおり、とりわけ外国証券の重要性が高まっている。そのため、時価評価に必要な精度の高い外国証券のデータが求められている。

 しかし、外国証券のデータ精度は国によってさまざまで、単一のデータ提供元からのデータだけでは、業務に必要十分な品質レベルにはなかなか達しない。また、単一のデータ提供元に依存しているとシステム障害のリスクが大きくなる。そのため、欧米の金融機関では、複数の提供元からデータを取得してデータ精度と信頼度を高めるのが一般的となっている。

 もっとも、各社がそれぞれ複数のデータ提供元からのデータ収集を行うことは、データコストだけでなく、データ取り込みや統合処理などシステム対応コストも膨らんでしまう。また近年は、運用資産の多様化が進み、ほとんど流通しない複雑な証券が運用資産に組み入れられるケースも多く、こういった証券は、時価の把握すら困難な場合が多いため、評価の都度、証券会社などに価格をヒアリングしなければならない。

 このように、価格データそのものを収集するための事務負担も従来に比べて増大しており、効率化が求められている。

外国証券データベース統合ソリューション「IDS-DMS」

 NRIでは、外国証券データベースの課題を解決する統合ソリューションとして「IDS-DMS 」を提供している。IDS-DMSでは、複数のデータ提供元の情報を組み合わせて最適な時価情報を提供するとともに、データ精度を向上するための支援サービスも提供している(図1参照)。IDS-DMSの利点として、複数のデータ提供元からの情報取得を一元化できることだけでなく、データ提供ベンダーを限定しないことにより、ベンダー間で競争原理を働かせ、よりよいサービスをよりリーズナブルなコストで提供し続けることが可能になることもあげられる。

図1 (クリックで拡大表示)

 IDS-DMSでは、収録データの過不足や妥当性のチェックなどによってデータ精度の向上に努めているほか、外国証券の情報取得の際に非常に厄介な問題となっている銘柄コード変更に対しても対策がとられている。データ取得の際に、データ提供元の銘柄コードが変更されていても、新旧いずれのコードでも時価データを取得することが可能となっており、コード変更にかかわらず一定期間は確実に時価が取得できるようになっている。これにより、コード変更のために急に時価が取得できなくなるということがなくなる。

 時価のような基礎データの収集は、どの資産運用会社や資産管理会社にとっても、大きな違いのない共通の業務である。そのような部分はIDS-DMSのようなソリューションによってできる限り業界として共通化していくことが望ましい。そうすることで、資産運用および資産管理という2つの専門領域で、それぞれがより高度な専門性を発揮していくことが可能となるであろう。

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