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大学がCRMだって?e-day

» 2004年02月04日 17時08分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 先週、カリフォルニア州のサンディエゴ大学を訪れた。もちろん、「OracleAppsWorld 2004」を取材するのが主な目的だったのだが、Oracle E-Business Suiteの導入事例として、米Oracleが欧州やアジア太平洋地域からのプレス向けに紹介してくれたものだ。

 マリーナが続くベイサイドのホテルを出発したバスはほんの10分ほどフリーウェイを北に走ったあと、サンディエゴのミッションベイを見下ろす小さな丘を登り始めた。カリフォルニア大学バークレー校やスタンフォード大学のような広大なキャンパスを予想していたのだが……、どうも違う。しかも、丘に登りきると、われわれ一行を出迎えてくれたのは聖母マリア像だった……。

 「あれれ〜」──そう、そこはサンディエゴ・スーパーコンピュータ・センター (SDSC:San Diego Supercomputer Center)で知られるカリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)ではなく、私立のカトリック系一般教養大学のサンディエゴ大学(University of San Diego)だったのだ。

 聖母マリアやカトリックがどうのというのではない。OracleのPR担当者からもらった案内のメールを読み返したら、ちゃんとUniversity of San Diegoと書いてあったし、今思えば、念のために行き先を尋ねたバスの運転手も「University of San Diegoだ」と答えていた。早合点したのは私だ。

 それでもキャンパスに一歩でも足を踏み入れれば分かる。最近、福岡の代議士が経歴をごまかしたのではないかという疑惑が話題になったばかりだが、あれはやはりヘンだ。

学生はカスタマー

 ともあれ、気を取り直し、マクドナルド創業者の未亡人、ジョアン・B・クロックさんによって設立された「Institute for Peace & Justice」(平和/正義研究所)の立派なカンファレンスルームでブリーフィングを受けることにした。

 サンディエゴ大学は2000年末の財務モジュールを皮切りに、人事、CRMへとOracle E-Business Suiteの稼動を拡大している。

 「大学がCRMですか??」

 「大学は最もタフなビジネスの一つ。学生はカスタマーであり、優秀な学生をリクルートすることが最も大切になる」と答えたのは、同大学で情報サービス部門のディレクターを務めるリッチ・ピケット氏。

 高校生やその父母を対象にコミュニケーションを絶やさないように努めるほか、これは米国の高等教育の特性なのだが、いったん社会に出たあと、大学院でさらに学ぶ人が多いため、他校を含めた卒業生らのトラッキングも重要になる。さらに私立のカトリック系大学ということもあり、そもそもマッチする生徒とそうでない生徒がいるに違いない。

 ピケット氏は、Oracle E-Business Suiteを選んだ理由として「単一のデータモデル」によって顧客情報を一元的に管理できることを第一に挙げる。この単一のデータモデルによって、アプリケーションごとに顧客の情報がバラバラに存在するのではなく、「一つの真実360度の顧客情報」が得られるという。

 「Trading Community Architectureをご存じですか?」(ピケット氏)

 Trading Community Architecture(TCA:統合顧客データモデル)は、顧客基本情報を核とし、マーケティング、販売、受注、生産、物流、サービスといった一連の活動から得られる購買履歴、問い合わせやクレームの履歴などを関連付けて一元管理し、CRMを技術的な側面から支援してくれるもの(詳細は下のグラフィックをクリック)。サンディエゴ大学を例に取れば、見込み客である高校生を対象にキャンペーンを展開し、リクルートに成功した顧客として在校生を扱い、卒業後もリピーターとすべくトラッキングを継続できるというわけだ。

 今朝、たまたま自宅(千葉・柏)近くの私立大学で入学試験があり、高校生らが足早に門をくぐるのを見かけた。少子化のあおりを受け、最近では多くの大学が定員割れだという。Oracle AppsWorldでは、単一の顧客情報源を構築する「Customer Data Hub」が目玉となったが、日本の大学にも「攻めのCRM」が必要となってきた。

出典:日本オラクル

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