コラム
» 2009年02月27日 21時35分 UPDATE

科学なニュースとニュースの科学:衛星衝突事故は未来への警告か?

ロシアの軍事衛星と通信衛星が衝突したニュースは「いつかは起きるのでは」と心配されていたことでした。飛び散った破片が今後、さらに事態を悪化させる懸念もあるのです。

[堺三保,ITmedia]

 去る2月10日、いつかは起こるんじゃないかと、いろんな人が心配していた、宇宙における事故が、とうとう現実のものになってしまった。

 ロシアの軍事通信衛星と、イリジウム(Iridium)社の通信衛星とが、衝突してしまったのだ。

photo 地球上空はデブリだらけ。NASA Orbital Debris Program Officeサイトより

 なんでこんな事が起こるのかというと、一つには、今やものすごくたくさんの浮遊物が地球の周りを回ってるから。

 そしてその中には、耐用年数を過ぎたり故障を起こしたりした人工衛星や、打ち上げ時に使われたロケットの部品などといった、いわゆる「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」と言われるものが一杯混じってて、これらは何かとぶつかって地球に向かって落ちてこない限り、いつまでも地球の周りを回ってて、その軌道は変更できないから。

 今回も、衝突することは事前に分かったんだけど、誰にもどうにもできなかったんだよね。

 で、問題なのは、ここからさらに事態が悪化する可能性があるってこと。

 さっき書いたとおり、宇宙ゴミってやつは基本的にどこにも行ってくれない。そして、今回みたいな衝突事故が起こると、それによって出来た破片が、新たな宇宙ゴミとなってそこら中に飛び散っていく。そして、それは新しい事故の原因となりかねないのだ。

 こうやって、宇宙ゴミが増えていって、特定の軌道付近である一定以上の量を占めると、衝突が次の衝突を連鎖的に引き起こし、加速度的に宇宙ゴミを増やし、衝突事故を増やしていきかねない。

 そうなったとき、その軌道付近の高度は、まったく利用不能の危険空域となってしまう。

 この恐ろしい現象を、提唱者の名を取って「ケスラー・シンドローム」と呼んでるんだけど、今回の事故は、本当にこのケスラー・シンドロームが近い将来現実のものとなるかもしれないという、むちゃくちゃ大変な危険を秘めてたりするのだった。

 今や人工衛星の提供するサービスは、私たちの生活に密着しちゃってますからね。「宇宙なんて関係ないや」なんて言ってらんないんだよ、マジメな話。

 ともあれ、もっと詳しいことを知りたい人は、ノンフィクションライターの松浦晋也氏によるコラムを読んでいただきたい。

堺三保氏のプロフィール

作家/脚本家/翻訳家/批評家。

1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。最近の仕事では、『ダイ・ハード4.0』(翻訳:扶桑社)がある。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。

ブログは堺三保の「人生は四十一から」


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