科学なニュースとニュースの科学
ゲリラ豪雨をGPSで予測?
今年も鬱陶しい梅雨の季節がやってきた。
いや、最近は降雨というと鬱陶しいどころか、局所的に突然起こる集中豪雨、いわゆる「ゲリラ豪雨」というヤツのせいで、けっこう大変な実害もでていたりする。
特に都市部の場合、下水が処理できる1時間あたりの降水量を越えた雨が降った場合、たとえ短時間の降雨でも水があふれ出す、いわゆる「都市型洪水」が発生してしまう。
さて、このゲリラ豪雨は、その名の通りゲリラ的なまでに突発的に発生するため、従来の天気予報では予測が難しいとされてきた。
そこで、先日、気象庁は新たな気象予測のためのシステムを開発したことを発表した。
これは、GPS(全地球測位システム)のデータから空気中の水蒸気量を割り出し、雲の発生状況を予測する仕組みで、早ければ今秋にも運用を開始するという。
GPSによる気象予測の実用化は、これが初めてだとか。
最近は車に搭載するカーナビはもちろん、携帯電話にも普通にGPSを用いた位置測定機能はついているので、皆さんもGPSがどんなものかはある程度理解しておられると思う。
GPS(Global Positioning System:全地球測位システムとは、元々はアメリカが軍事用に開発したシステムで、地球の周囲を周回する30個の人工衛星を使って、地上のどの位置に自分がいるかを特定することができるというものだ。
30個のうち、最低4個の衛星が自分の頭上にあれば、それらと電波による通信をおこない、それぞれの衛星との距離を測定することで、自分が地球上のどの一点に存在するかを割り出すことができる。
もちろん、正確な測定のためには、様々な補正が必要となる。その中の一つに電波の「大気遅延」というやつがある。
電波は、大気を通過する際、真空中よりもわずかに遅れが生じる。これは大気の屈折率によるもので、それは、気圧、気温、湿度によって影響される。
GPSの通常の利用法では、この大気遅延を補正することによって、正確な位置を算出するわけだが、今回の気象庁のシステムは、逆にこの大気遅延を利用して、大気中の水蒸気の量を推定しようというものなのだ。
なんでも、GPSによる水蒸気量の測定は、非常に精度が良いということなので、このシステムが稼働したら、突然ピンポイントで発生するやっかいなゲリラ降雨にも、余裕を持って予報を発することができるかもしれない。
今年の梅雨にはまにあわないけど、秋以降は、外出時の天候チェックに、頼もしい味方ができるのかも。
堺三保氏のプロフィール
作家/脚本家/翻訳家/批評家。
1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。最近の仕事では、『ダイ・ハード4.0』(翻訳:扶桑社)がある。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。
ブログは堺三保の「人生は四十一から」。
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