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Googleの新しいデザインが嫌われる理由(2/2 ページ)

» 2010年05月10日 18時43分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK
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5. GoogleはYahoo!じゃない

 わたしはYahoo!検索を使うときはいつも、ほとんどすぐにほかのサイトに脱出してしまう。Yahoo.comがごちゃごちゃしているからだ。Googleではそんなことはなかった。Googleのトップページにアクセスして、ほとんど真っ白に近いページにある検索ボックスにキーワードを入力して、ほかのものに患わされることなく検索結果をスクロールできた。そんな日々は終わった。ユーザーがシンプルさがなくなったことに気づき、左サイドバーのツールに注意を引かれるようになったら、彼らはそのことを嫌だと思うかもしれない。雑然としたインタフェースはGoogleの強みではない。

6. クリックが増える

 Googleは自社の検索ツールを、以前よりもたくさんクリックが必要かもしれないものに変えてしまった。例えば、ユーザーがGoogleでブルース・スプリングスティーンを検索すると、「すべて」タブで以前と同じ検索結果を見ることができる。だが、画像、ブログ、動画を探そうとすると、幾つかのパラメータをクリックしなければ目当ての情報にたどり着けない。ユーザーが慣れてくればこの問題は解決するだろう。これらオプションのほとんどはデザインが変わる前からあったが、今回の変更で前面に押し出された。平均的なユーザー、あるいは初心者ユーザーは、デフォルトで提示される多数のオプションに圧倒されるかもしれない。

7. 動機は不安か

 初心者ユーザーは気にしないだろうが、GoogleがMicrosoftと戦っていることを知っている上級ユーザーは、新しいデザインを気に入らないかもしれない。Googleは決して認めないだろうが、新しいデザインは「必要」よりもむしろ「不安」から生まれたように見える。Googleは市場でベストなアイデアを出せる有能な企業だ。しかし、同社はそれに反して、Bingをまねたデザインを取り入れることで、Bingを阻止しようと考えたようだ。これは、Microsoftの検索エンジンが脅威になるかもしれないという不安から生まれた防衛的な対策だ。守勢に回るのは、Googleにはあまり見られないことだ。

8. 新しいものに反発はつきもの

 企業が人気製品のデザインを新しくするときは常に、反発が予想される。ユーザーは製品のルック&フィールに慣れているため、それが変わると、生産性が下がることを懸念して強く反対する。Facebookのトラブルを覚えているだろうか? 同サイトがデザインを刷新したときには、すぐに抗議グループができた。時間がたつにつれて騒ぎは沈静化していったが、騒動が続いている間はひどいものだった。Googleは今回の件で、同様の反発に対処しなければならないだろう。

9. 検索は結果がすべてなのに

 Googleは、検索はユーザーが見つけうる限り最高の検索結果を提供することがすべてだと示してきた。幸いにして、同社はデザインを変更する際に検索結果をめちゃくちゃにはしなかった。だがこの変更で、Googleはもう検索結果の質だけに集中してはいないということが明確になった。今の同社は、検索サービスをライバルと同じくらい見た目のいいものにしようとしている。ある程度はそれも理解できる。Googleは検索のすべての要素においてトップに立ちたいと考えており、デザインもその要素の1つだ。それと同時に、Googleは最も成功しているが、最も美しくはない検索エンジンだった。今同社が最も望まないであろうことは、検索結果のことを忘れてしまうことだ。だが、Googleはもう忘れてしまったと感じている人もいるだろう。

10. ユーザーを引き留めている

 Googleが成功した理由の1つは、成功するためには「ユーザーを引き留める」必要がないのを分かっていたことにあると言える。同社は、ユーザーがGoogle.comにアクセスして、同社のサーバにほとんどとどまらずに、できるだけ早く目的地に到達することを望んでいる。だが、多くの検索オプションを目に付く場所に置いたことで、同社はほかの多くのWeb企業が陥っている「引き留め」のわなにはまっているのかもしれない。新しいデザインはユーザーをサイトの外に出すよりもむしろ、Googleのサーバにとどめて、探しているものが見つかるまであちこちクリックさせているようだ。Googleの広告チームは満足かもしれないが、ユーザーは嫌がるだろう。

 検索市場ではシンプルさが至上だ。Googleの新しいデザインは競争上の優位性を求め、多くの点でシンプルさに背を向けている。残念だ。

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