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» 2011年10月05日 12時20分 UPDATE

防災・防犯ラボ:水がない緊急時でもOKな「温めずにおいしく食べられるカレー職人」は本当にうまいのか

東日本大震災を受けて常温のまま食べられるレトルトカレーが出たとのことで、早速試食をしてみました。「冷たいカレーがうまいわけない!」と正直最初は半信半疑でしたが……?

[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

 こんにちは、防災・防犯ラボの主任研究員・ナカヤマです。「防災・防犯ラボ」の記事を書くようになり、関連グッズや非常食に興味が湧いてきた今日このごろ。先日、江崎グリコの「温めずにおいしく食べられるカレー職人」を試食する機会があったので、レビューをしてみようと思います。

 温めずにおいしく食べられるカレー職人という少々長い商品名。プレスリリースによれば、防災対策用に加熱不要なレトルトカレーとして8月9日に発売しました。開発のキッカケは、東日本大地震後に消費者から寄せられた「レトルトカレーは温めなくても食べられますか」、「レトルトを温めた水がもったいない」といった声だそうです。

 値段は希望小売価格130円と、江崎グリコが通常販売している普通のレトルトカレーとほぼ変わりません。ではその他の部分はどうでしょうか? 気になる味は?

ふつうのレトルトカレーと何が違うの?

sk_cur01.jpg パッケージの見た目はふつうのカレーとほぼ変わらない

 気になるのが「ふつうのレトルトカレーと何が違うの?」と「何を根拠に温めなくてもおいしいと主張できるの?」の2点。私は、飲食店や食品メーカーが自社商品を「さらにうまさがアップ!」や「ますますおいしくなって新登場」とうたっているのを見ると「ケッ」と思ってしまう素直じゃない人間なので、余計にそう感じてしまうのかもしれません。

 パッケージ裏を見ると「植物油脂を使用しているので、常温でも滑らかでおいしい」と書いてある以外には、特に説明はありません。植物油脂が味にどう影響しているかの説明になっていない気がしたので、お客様センターに問い合わせてみました。

 以下、やりとりをQ&Aにまとめてみます。


東日本大震災をキッカケに開発された、新しいカレー

ナカヤマ 植物油脂だと、なぜおいしいのですか?

江崎グリコ ふつうのレトルトカレーは、動物油脂を使用しています。動物油脂は常温で固まり油も浮いてしまうので、ちょっと食べにくいのです。植物油脂だと常温でもルーがやわらかく保たれ、おいしいというワケです。

ナカヤマ 動物油脂と植物油脂では、味とカロリーは違いはありますか?

江崎グリコ いえ、味に差はありません。食べただけでは、植物油脂か動物油脂かは気付かないと思います。カロリーも大差はありません。

ナカヤマ 非常用として、従来のレトルトカレーには施していない工夫はありますか?

江崎グリコ 老若男女誰でも食べられるよう、スパイスは控えめにして刺激を抑えました。中辛にとどめてあるのも同じ理由です。

ナカヤマ 賞味期限が2年ですね。ということは、ふつうのレトルトは1年なのでしょうか?

江崎グリコ いえ、実はこれまでのレトルトカレーも賞味期限が2年であるものが多いです。つまり、レトルトパウチやパッキングの工法はまったく同じです。ただ、保存用途ですのでパッケージ表面に「2年」と目立つように印刷してあります。

ナカヤマ “あめ色のたまねぎと牛肉”を具材に使用しているとのことですが、これはきっと江崎グリコさんならではの非常用としてのこだわりや理由が……?

江崎グリコ 特にはないと思います。使っている具やカットの仕方にも、従来の商品と違いはありません。味も具もふつうのカレーだと思ってください。

ナカヤマ ふつうの(動物油脂)レトルトカレーを常温で食べても、別に問題はないですか? お腹を下したりはしませんか?

江崎グリコ 食べにくいことをガマンさえすれば、調理済みなので大丈夫です。

ナカヤマ こうしたタイプのカレーって、昔からあったのですか?

江崎グリコ 東日本大震災を機に開発しました。よって、まったく新しいカレーとして2011年に新発売しました。

 丁寧な対応で、大変よく理解できました!

常温で本当においしいの?

 ということで、試食。

sk_cur02.jpg お米は「サトウのごはん」です。お米だけアツアツにするのはフェアではないので、お米も常温で
sk_cur03.jpg 湯気が立たないレトルトだと、胸がときめきません……。香りもない。パッケージが常温なため、指が「アチチチッ!」とはならないのが唯一のメリットですかね
sk_cur04.jpg 見た目は何の変哲もないカレー。色も量もふつう。具は玉ねぎがメインなので、見た目は液体っぽくゴロゴロした感じはありません

こ……こいつ、うまいぞ!

 正直、この段階ではまだ半信半疑でした。

 「誰が何と言おうと、冷めたカレーがうまいわけがない」「メーカーの語る“おいしさ”は根拠が曖昧で、消費者には意味のないマーケティング上の記号にすぎない」「そもそも、おいしさうんぬんは数値化できない主観じゃないか」といろいろ警戒していました。しかも、油脂が植物性というのも食欲をそそりません。

 しかし、食べる前から文句を言っても仕方ありません。恐る恐るスプーンを口に運ぶと……。

 「んん?」

 「あれ!?」

 何か、ふつうにおいしいんですけど……。何だろう、熱くないのにおいしいという、この不思議な感覚。

 ルーはサラサラとご飯によくからみ、口の中でごわごわすることもありません。デコボコした具もないので、モグモグとかみ砕くする必要もなほどスッと喉を通ります。家の残り物のカレーを想像してもらいたいのですが、冷蔵庫から出したばかりだとルーがボテッと固まりになっていますよね。ああいう感じがまったくないんです。冷めているのに、ルーの感触や見た目はアツアツっぽいというギャップ。

 もちろん、しょせんレトルトカレーなのでグルメをうならせるような驚きはないです。香りもほぼなし。しかし、仕方なく我慢して食べているわけでもありません。強いて言うなら「ちょっと冷めた小学校の給食カレーを中辛にした」でしょうか。給食カレーが好きな方なら、おそらく好きになれる味です。

ふつうのレトルトカレーも常温で試食した

 ここで終了では何なので、ふつうのレトルトカレーも常温で試食してみました。比較対象がないと、本当のおいしさが伝わらないですからね。

 食べ比べてみた結果ですが、味の差は明らかでした。正直(常温で食べるふつうのレトルトカレーは)これっぽっちもおいしくない。ルーは舌の上でザラつくし、冷たいじゃがいもやニンジンをかみ砕くのが微妙に不快です。ルーが滑らかであるかどうかで、こんなにも味覚が変わるんですね。3口食べて、「とても完食できそうにない」と悟り、電子レンジで温めておいしくいただきました(笑)。

 お客様センターでは、あめ色にしたたまねぎに意図はないと話していましたが、ごろごろ系の具よりもはるかに食べやすいと思ったので、きっとその辺の意図は開発側に入っているのではないかという気がします。

 というわけで、食わず嫌いしていてすみませんでした。江崎グリコさんの開発力に感謝! です。江崎グリコさんによれば、9月1日の「防災の日」前後に販売を終了したそうです。在庫がなくなり次第終了とのことなので、店頭で見たら確保しておいてはいかがしょうか。

著者紹介:中山順司(なかやま・じゅんじ)

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 シックス・アパート株式会社 / スキナヒト製作所 所長。1971年生まれ。Covenant College(米国)卒業後、携帯電話キャリアでマーケティングと営業に携わり、2000年にネット業界に転身。旅行予約サイト(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに(現職)。

 2010年12月、フツーの男女のフツーの出会いをプロデュースすることに特化した、世界一マジメな恋愛インキュベーション・プロジェクト「スキナヒト製作所(β)」を設立。


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