連載
» 2012年02月15日 11時00分 UPDATE

説明書を書く悩み解決相談室:障害調査報告を通して「上司の視点」をイメージさせる方法 (1/2)

部下の報告書をチェックしたところ、文章が長すぎて何を伝えたいのかがいまいち伝わってこない……。そうしたときは、他人がなぜ疑問を持つのか、その思考プロセスをチャート化し、部下に見せることでその理由を考えさせることが重要です。

[開米瑞浩,Business Media 誠]

 文書化支援コンサルタント、開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第15回です!

 仕事をしていると、多かれ少なかれ大小さまざまなトラブルに遭遇するものです。それを解決できるからこそお金がもらえるわけで、中にはトラブルが起きると元気になるタイプの人もいます。

 ただ、問題解決そのものは好きでもその報告書を書くのは苦手、という例も少なくありません。今回はそんな悩みを抱える井口さんの事例を紹介します。

開米 はじめまして、井口さん。食品メーカーでカスタマーサービスにかかわる仕事をされているそうですね。

井口 はい、ですから一般のお客様からのクレーム電話なんかも真っ先に受ける立場です。

開米 それはそれは、いろいろと対応の難しいケースも多いのでしょうね。

井口 それはもう人には言えない悩みがいろいろと……。

開米 言えない悩みは聞かないことにします(笑)。では人に言える悩みにはどのようなものがありますか?

井口 それはもう、部下の報告書が分かりにくい、ということに尽きます。具体的には、こういうものです(固有名詞は削除してあります)。

 【背景】顧客窓口に、商品の味が違うというクレームが複数寄せられた。詳しく聞くと、商品の管理体制が悪い状態で賞味期限を越えて保管した場合に起きる現象の疑いがある。事実ならばCSの観点および安全管理の観点からも問題があるため、調査を要する。

 【調査方法】小売店を訪問してサンプリング調査に協力を要請。店頭とバックヤードでの管理状態を確認、一部商品を購入して持ち帰り検査を行う。

 【調査した件数】5系列58店舗+独立系8店舗、合計214サンプル

 (詳細データ 略)

 【結果】214サンプル中、3サンプルにて食味検査不合格と判定。この3サンプルはいずれもSチェーン系列の異なる店舗で販売されていたものだが、店頭の管理状態には問題はなかった。Sチェーンの流通段階に何らかの問題がある可能性が疑われるため、同一ロットの追跡をするとともにSチェーンを重点的に追加調査を行い、原因究明と対策を施すことが必要と思われる。

開米 なるほど。私が連載記事にサンプルとして載せるのにはちょっとためらわれる文字数の多さですね。

井口 まさにその、長いのが問題で、これでもかなり削ってあるんですが……何を言いたいのかすぐに把握できないことも多いので、その都度赤入れして指導してますが、なかなか直らないんです。

開米 その都度赤入れして、これこれこう気を付けろと指導をして、でも次はまた同じようなことをやってくるという感じですか。

井口 そうなんですよねえ……。

開米 なるほど。そうなると、考えさせる指導になっていない可能性がありますね。

shk_setumei01.jpg

開米 「ダメな例」を「良い例」に修正するためには、ここをこう直せという具体的な修正点の指摘と、その理由はこうだという説明が必要ですが、全部言っちゃうと頭を使わなくて済んでしまうので、「こう直せ」は自分で考えさせたいところですね。

井口 うーん、ここをこう直せと私が直接修正案出しちゃってることが多いかなあ。

開米 それを自分でやれるように成長してほしいわけですよね?

井口 そうです。そうなれば僕が楽になりますから。

開米 ええ、楽しましょう。それには、そうですねえ……こういう話の場合は、そもそもその報告書を誰がどんな意識で読むのか? というのをイメージさせる必要がありそうです。

井口 真っ先に読むのは私ですが、もちろんその先があるので、会社の役員にそのまま出せるレベルのものを書いてほしいんですよね。

開米 そうですよね。そこで、上司の立場と部下の立場という形で図を書くとこんな意識の違いがありますよね。

shk_setumei02.jpg

開米 部下は現場で個別の問題を担当しているから、詳細を細部まで把握しておきたいという意識がある。一方、上司は現場の全ての細部を把握できるわけがないので、重点的に管理すべき案件とそれ以外を分けて意識している。だから、個別の問題に関して「これは重点管理が必要かどうか?」を判断する手掛かりがほしい。

井口 ええ、まさしくそうです。だからそういう意識の上司が判断しやすいように書かなきゃいけないのに、いつもこまごました細部を書いちゃうクセが抜けないんですよ。

開米 ああ、やっぱり。この報告書なんかもまさにそんな書き方ですね。現場の人間が自分自身にとって必要な詳細を把握するための文書とは違った組み立てが必要なのに……。

井口 何か良い方法ありますか?

開米 はい、それでは……こんな質問をしてみてください。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ