――: イシノさん! Chromebook持ってきましたよ!
イシノ: あ、いいですねぇ。実は気になっていたんですよ。わたしも使いたいなぁと。
――: えっ? そうだったのですね。イシノさんほどの人であれば、PCにこだわりがあって、気にも留めない機種なのだとばかり……。
イシノ: いえいえ、キーボード付きで入力も楽そうですし、Androidタブレットとかと違ってフルWebブラウザでしょ? 作業もしやすいうえにWindows PCと比べ、値段も格段に安いんですよね。個人的に買いたいくらいなんですよ。
――: そこまでお気に入りなのに、何で業務で使えるPCとしての選択肢に入っていないんでしょうか。ぶっちゃけ、当社でChromebookを導入するのに何が問題になってるんですか。
イシノ: いくつか不安な点がありますが、1つはセキュリティ上の不安ですね。Chromebookって、ローカルストレージ(PC本体の保存領域)が16Gバイトだけですよね。そのため、基本的にはデータをクラウド上に保存することになるんです。個人情報を含む機密情報をアクセスコントロールが可能でアクセスログも取得できる「指定されたサーバー」以外に保存することを禁止している企業は多いんですよ。もちろん、当社も。情報漏えいなどのリスクのあるクラウドに大切なデータを保存する不安……お分かりですよね。
――: そうですよね。データが流出してしまったら、企業へのダメージも計り知れませんしね。
イシノ: そのような情報をやり取りしないでいい職種であれば問題なく導入できると思いますけどね。
不安が解決されれば、Chromebookを導入できるかもしれない。そう考えた筆者はGoogleが企業向けに提供しているクラウドストレージサービス――Google Drive for Businessについて調べてみた。
元々、Googleが提供するGmailでは、一通のメールが全世界のデータセンターに、あたかもジグソーパズルのピースのように断片化した状態で分散保存されいる。ログインしたユーザーが、メールタイトルをクリックして「読みたい」というリクエストを送ってはじめてそれらが1つに組み合わさって読めるという仕組みだ。
これと同じことが、有償版Google Appsで提供されているGoogle Driveでも行われている。つまり、Google Driveに保存したファイルは、いくつかのデータセンターに分散保存されている。もしそのうちの1つのデータセンターが攻撃されデータを盗まれても、そこに保存してあるのは断片化したデータだけ。それだけでは何のことだか分からない、まさにジグソーパズルのピースの1つのようなものなので、万が一の時でも安心というわけだ。
さらに、それらデータが保存されているデータセンターのいくつかが機能しなくなったとしても問題ないという。なぜなら同じデータを複数のデータセンターに保存してあるため、データの復元ができない、ということを防いでいるからだ。これは1セットのジグソーパズルのために、いくつもの予備のピースが用意されていることに例えられるだろう。
Googleの担当者は、「われわれが提供するクラウドストレージサービスは、機密データの保全やハッキング対策も万全です。社内サーバはおろか、紛失の恐れがあるノートPC内のHDDよりも安全ではないでしょうか」という。その証拠に、Google自体も社内で自社サービスを使っている。
――: イシノさん、どうでしょう。クラウド保存でも、これだけの材料がそろっているんですから安心できませんか?
イシノ: なるほどねぇ。でも……。
Chromebookへのさらなる不安が語られる次回はこちら→Google PCのセキュリティリスク――本体メモリの保存データは大丈夫?
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