コーヒーなどカフェインを多く含んだものを飲むと、すっきりして頭がさえたような、幸福感を得られます。しかしそれが「通常の人が通常感じている気分と何ら変わりはなく、禁断症状が和らいでいるだけ」という説もあるようです。
カフェインには中毒性があることを知っていてもやめられない人は多いものです。しかし、それが体に及ぼす生理的影響を知ると考えが変わるかもしれません。
感情知性テストとトレーニング会社である「TalentSmart」の共同創立者Travis Bradberry氏は、なぜ毎日コーヒーを飲む習慣が生産性に悪影響を与えるのかについて、LinkedInに投稿しています。
Bradberry氏は、1杯のコーヒーを飲んで得られる心地良い感覚やエネルギーの高まりは、「カフェインの禁断症状を一時的に和らげている状態に過ぎない」と示すJohns Hopkins Medical Schoolの研究を挙げています。
言い換えれば、コーヒーを飲んだ後に得られる短時間の“幸せな状態”は、カフェインを習慣的に取っていない人が“常に”感じている状態なのです。コーヒーを習慣的に飲む人はその幸せな状態が、飲んでいないときには続かないという点が違うのです。
「カフェインが切れると、認識的な活動を低下させ、気分にネガティブな影響を与えます。通常の状態に戻すために、カフェインを飲むことで新たな高みに連れて行ってもらっている気になるため、そうするしかないのです」とBradberry氏は説明します。「実際には、カフェインはその人の行動を禁断症状が出るまでの短時間、通常の状態へ戻しているだけなのです」。
それだけではありません。Bradberry氏は、なぜコーヒーを飲むことが抑制を失うことにつながるのか説明しています。カフェインが闘争・逃走反応の源として知られるアドレナリンの分泌を引き起こしているというのです。
「アドレナリン分泌によってもたらされる闘争・逃走反応は、合理的思考というよりも、より早い判断に向いています。これは、熊など命を脅かすようなものに追いかけられているような状況では便利でしょう。しかし、簡略なメールに返信する時には不要です」と、Bradberry氏は書いています。
その上、一度カフェインが体内に入ると、排出されるまでかなり長い時間がかかります。コーヒーを朝8時に飲めば、夜8時になっても25%のカフェインが体内に残っているのです。夜、床につくときにカフェインが体内に残っているとどうなるでしょうか。体が回復するために必要な深い眠り、レム睡眠を妨げてしまうことになるのです。
これらは何とコーヒー愛好家にとって恐ろしい話なのでしょう。もちろん、すぐさま毎日のカフェイン摂取を止められるないとしても、少なくとも摂取量を減らすことを考えるようになるかもしれません。
最近、Inc.のJessica Stillman氏は、カフェイン摂取を制限する上で最も重要なことは、「いつ体はカフェインを必要としているのか」また「本当にそのカフェインは必要なのかどうか考えること」と投稿しました。例えば、夜ぐっすり眠れた後のリフレッシュした体には必要ないでしょう。そのようなときには、少なくとも昼近くまでは、その1杯のコーヒーを飲むのを控えてもいいのではないでしょうか。
copyright (c) mediagene Inc. All rights reserved.