「LINE LIVE」一般ユーザーがライブ配信可能に 女子高生の感想は?

» 2016年08月10日 10時40分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 LINEは8月10日、ライブ動画配信プラットフォーム「LINE LIVE」の大型アップデートを行った。これまで動画配信は公式アカウントのみに限られていたが、一般ユーザーにもライブ配信機能を開放。また、コミュニケーション機能を拡充する新機能を追加する。

アップデートで一般ユーザーもライブ配信ができるようになった「LINE LIVE」

 LINE LIVEは、動画を生放送できるスマホアプリ。「スマートフォンならではの、スマートフォンに最適化されたサービスとはなんだろう?」という考えのもとに、2015年12月10日にスタートした。

 スマホアプリのプッシュ通知を生かして、生番組が始まった瞬間に集客ができることや、視聴者が配信者(出演者)に向かってコメントや「ハート」を送ることができるのが特徴となっている。

 「ほぼ作り直すくらい」変わったというLINE LIVE。詳しいアップデート内容や、マネタイズのモデルを見ていこう。

アップデート、何が変わった?

 最大の変更点は一般ユーザーが無料で自由にライブ配信ができることだが、他に注目ポイントは「LIVEスタンプ」の追加だ。顔にアニメーションの加工を施し、うさぎの耳がついたり、吸血鬼のようになったり……と簡単に変化させることができる。同社が運営するカメラアプリ「LINE camera」「egg」の技術を生かした。

 今回は50種類のLIVEスタンプを搭載するが、今後も追加していく予定。現状は全て無料だが、今後は有料スタンプが登場する可能性もあるのだという。また、現在の「シン・ゴジラ」スタンプのように、他企業との提携スタンプを増やすことも考えている。

LIVEスタンプとギフトアイテムで、配信者と視聴者の交流を促進させる

 また、「ギフトアイテム」という有料コンテンツが登場。視聴者から配信者に送ることができ、送った瞬間に配信画面が華やかに彩られる。無料で送れる「ハート」と合わせて、視聴者と配信者のコミュニケーションを促進する機能だ。LINE LIVEのマネタイズは、このギフトアイテムの課金が中心になっている。

 ギフトアイテムや視聴者数、コメント数やハート数などの配信結果に応じて(算定方法は非公開)、配信者にボーナスとして「LINEポイント」が付与される。このポイントはLINEコインに変換が可能で、LINE LIVEのみならずLINEの他アプリでも使用できる。なお、現金には変換できない。

女子高生の感想は?

 さて、実際にアプリを使ってみた感想を聞いてみよう。外から見ると完全に2人の世界だが、実は自撮り棒で配信中の女子高生、森みはるさんと江崎葵さん。彼女たちはLINE LIVEの新バージョンについてどう思うのか。

一見すると完全に2人の世界だが……
実は配信中。スタンプを切り替えてみたり、アクションをとったりと、視聴者のコメント(左下に表示され、リアルタイムに更新されていく)に応じている

 配信してみた率直な感想は「楽しい〜」。普段2人はライブ動画配信サービス「ツイキャス」を使って配信しているといい、自撮りしながらコメントに反応するのもうまい。

 「LIVEスタンプがかわいい。目が大きくなったりする“盛れるスタンプ”も欲しいかも」(森さん&江崎さん)

 LIVEスタンプは、顔を認識してリアルタイムで動く。ゴジラとのコラボスタンプは口を開けると火を噴くなど、各スタンプには一定の動きに対応したモーションが用意されている。それを出すために、2人の表情はカメラの前でくるくる変わる。

 使用感は――というと、「SNOW(10代に人気のある顔認識カメラアプリ)とツイキャスが一緒になった感じ」(森さん&江崎さん)なのだという。

大規模アップデートは“仮説が証明されたから”

 大規模なアップデートは、何を意図して行ったのだろう。実は、LINE LIVEは一般ユーザーが配信することを考えて設計されていた。配信できるのが公式アカウントだけに限られていたのは、とある“仮説”を確かめるためだったという。

 LINE執行役員エンターテイメント事業部の佐々木大輔さんは、「コンテンツとの出会い方も変わっている」と指摘する。これまでつけっぱなしにしていたテレビでなんとなく番組を見ていたユーザーが、動画サイトで自分や友達が興味を持っているものを検索する。そしてその次は、アプリのプッシュ通知で飛んできたものをリアルタイムで見て、配信者とともに体験・コミュニケーションするコンテンツを求めるようになる――という。

 これまでの番組で話題を呼んだのは、ロンドンブーツ田村淳さんにコメントで「あっちの方向に行って!」などと“操作”できる「アツシメーカー」や、ハートの数に応じてライブの演出が変わる「私立恵比寿中学ハート数連動LIVE」など。“自分の存在”が番組の展開に影響を与えることに、ユーザーは面白さを感じている。

 また、芸能人が個人でゲリラ的に配信するセルフィー(自撮り配信)や、ライブ会場からの配信も人気があるのだとか。人気の傾向がどれも“ユーザーは体験やコミュニケーション、ライブ性を求めている”という仮説を証明していたために、新バージョンのアップデートを進めたと佐々木さんは語る。

 これまで生放送を配信していたのは芸能人300人、企業100社。視聴者数(番組ごとのユニークユーザー)は6月末までで延べ3.5億人だ。一般ユーザーに配信機能が開放されることで、延べ視聴者数は更に増えていくと推計される。

 個人がライブ配信できるサービスは、ニコニコ生放送、ツイキャス、FC2ライブ、FRESH! by AbemaTV、SHOWROOMと“群雄割拠”の状態。LINE LIVEのシェアがどこまで食い込むか、今後の動向に注目だ。

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