喫煙所でどんなビジネスが生まれているのか スキマ デパートの試みが面白い水曜インタビュー劇場(プカ〜公演)(3/6 ページ)

» 2021年02月10日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

カレーのルーを販売して「大成功」

岡部: はい。こちらが安く借りようとしても、飲料メーカーさんが高く借り上げる。なぜ、そんな高額で借りることができるのか。自販機って、そんなにもうかるのか。いくつかの疑問が出てきたので調べてみると、自販機での売り上げだけでなく、筐体に社名や商品名などを表示することで広告的な要素も含まれていることが分かってきました。

 当社のような小さな規模の会社で、大手飲料メーカーさんとの競争に勝つことはできません。本業の不動産関連にチカラを入れながらも、「狭いスペースで何かすることができないか」と考えていたところ、自販機ベンダーの会社を買収することができ、そこから自販機にもチカラを入れていくことになりました。

土肥: 2015年の買収時には639台でしたが、2年後には1000台を突破。その後も順調に伸ばしていき、20年には3300台に達している。どういったきっかけで「自由販売機」を始めることになったのでしょうか?

岡部: インド料理のチェーン「サムラート」さんの店前に自販機を設置したところ、店側から「カレーのレトルトをつくったので、自販機で売ってくれませんか?」という話がありました。「うーん、カレーのルーって売れるのかな」と思ったのですが、商品を並べてみることに(350円)。缶に入れて販売したところ、予想以上に売れたんですよね。

 その自販機は30商品を販売できますが、ルーは3商品だけ。にもかかわらず、ルーだけで月に6万〜7万円ほど売れました。一般的な飲料自販機の場合、月の売り上げは5万〜6万円ほどなので、カレーのルーを販売したことは「大成功」だったんですよね。こうした経験があったので、事業コンセプトを「小さなスペースから世の中を面白くする」として、空きスペースと商品を売りたい人をつなぐ役割ができないかと考え始めました。

土肥: 具体的にはどんなことを?

読売ジャイアンツとコラボした自由販売機

岡部: 読売ジャイアンツや横浜DeNAベイスターズのオリジナルグッズなどを販売したり、ジンズさんのコンタクトレンズを扱ったり。このほかにも宝飾品を扱うブランドの香水や、アニメのグッズなど、さまざまな商品を販売してきました。そんな中で、20年に喫煙所をオープンしました。渋谷や市ヶ谷など都内で12カ所展開していて、今年の3月末までに20〜30カ所に増やす予定。今後は都内で200カ所の設置を計画していて、将来的には大阪などにも展開することができればと考えています。

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