新型コロナウイルスの影響が続く中、オフィスの役割が変化している。オフィス以外の場所でも働けるように、企業側が環境を整えたり、就業規則を変更したり──。そうして、全席が埋まっているのが当たり前だった時代は、過去のものになりつつある。
コニカミノルタジャパンは、そうした変化に気付き、本社オフィスをリニューアルした。ミーティングスペースなのに壁を作らず、グリッド線で区切っていたり、オフィス家具をサブスクリプションで借りていたり──と、工夫を凝らしている。
どのようなオフィスなのか。どんな意図があるのか。コニカミノルタジャパンの牧野陽一さん(経営企画部)、奈良孝一さん、梅田眞世さん(ともに空間デザイン部)に、詳しい話を聞いた。取材はオンラインで実施。
7月にリニューアルオープンした本社オフィス「つなぐオフィス」(東京・浜松町)は、コニカミノルタが目指すニューノーマル時代の働き方を反映している。
同社は感染拡大防止のため、出社率を抑え、平均8割の社員がテレワークを行っている(7月現在)。しかし、牧野さんは「テレワークがニューノーマル時代の働き方になるとは考えていない。オフィスへの出社とテレワーク、それぞれの良さを理解し、いいとこ取りをするのが、ニューノーマル時代の働き方ではないか」という。
出社かテレワークかのどちらかに“全振り”するのではなく、その日の業務目的に合わせ、どちらでも選べるようにする、というハイブリッドな働き方だ。そうすると、オフィスが果たす役割は、単なる働く場所の提供というわけにはいかなくなってくる。働くだけなら自宅やサードプレースと呼ばれる場所でも十分機能するからだ。
コニカミノルタジャパンが、全社員を対象にアンケートを実施したところ、「テレワークでも生産性を維持または向上できている」という回答が8割にのぼった。一方、オフィスへ出社することには、「円滑なコミュニケーションの実現」「組織マネジメントの効率化」という価値を見い出していることも分かった。
これらを踏まえ、オフィスに求められる役割は何か。牧野さんは「創造性、業務効率、エンゲージメントの価値向上を支えるのが、これからのオフィスに求められるものだ」と力説する。「価値探求のできるActivity Based Working(ABW)を実践するために、オフィスをリニューアルする運びになった」
奈良さんは「オフィスに対しては、Face to Faceのリアルコミュニケーションの役割を望む声が大きい」と説明する。「社員の帰属意識を高めること、イノベーションやコラボレーションをしやすい環境づくりなどもオフィスの役割として挙げられている」という。
では、ニューノーマル時代の働き方にマッチしたものとして、どのようなオフィスを作り上げたのだろうか。
「これら3つの価値は、テレワークでも高められるが、オフィスに来るからこそより高まる。それは社員や企業の成長に欠かせない価値だ」と梅田さんは話す。「そのようなオフィスにするのにふさわしいデザインについて議論し、結果として生まれたのが7つのカテゴリー、7つのエリアだ」という。
7つのカテゴリー、エリアとは次のようなものだ。
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