Informixに再びスポットライトを当てる日本IBM

日本アイ・ビー・エムは11月19日、東京・渋谷のソフトウェア・コンピテンシー・センターでInformixのユーザーカンファレンスを開催する。新しい「IBM Informix Dynamic Server 9.5」をプレビューするほか、ユーザーである楽天がゲストスピーカーとして招かれている。

» 2004年11月18日 13時44分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 データベース市場で懐かしい製品に再びスポットライトが当てられようとしている。

 日本アイ・ビー・エムは11月19日、東京・渋谷のソフトウェア・コンピテンシー・センターでInformixのユーザーカンファレンスを開催する。新しい「IBM Informix Dynamic Server 9.5」をプレビューするほか、ユーザーである楽天がゲストスピーカーとして招かれている。

 2001年の買収によって手に入れたInformixは、既存顧客からのニーズがある限り開発が続けられ、12カ月から18カ月ごとのバージョンアップが約束されている。とはいえ、DB2をフラグシップ製品として掲げるIBMは、同RDBMSの押し出しも控えめにせざるを得ない。実際、現行バージョンがリリースされた昨年3月も大々的な発表は見送られていた。

 しかし、1990年代にアスキーによって十分なローカライズが行われたせいもあり、日本市場では依然として忠誠心の高いInformixユーザーが多く、楽天もそうしたユーザーの1社だ。日本IBMソフトウェア部門でデータマネジメントを担当する中川いち朗GMによれば、現在も彼のビジネスの2割程度を旧Informix製品が占めているという。

 日本IBMは、そうした顧客の根強い支持に押され、新バージョンのリリースに向けて東京と大阪(11月25日)でユーザーカンファレンスを開催するほか、幾つかの施策も打つ。

保守契約切れにも施策

 Informixは歴史的な経緯もあって、その大半がパートナー経由で販売されてきた。そのため、直接コンタクトのないユーザーも多く、保守契約切れがかなりの数に上るのではないかと日本IBMも頭を痛めてきた。「最新の技術情報を伝えたくても、それができない状態」と中川氏は懸念する。

 同社では今回、保守契約を再開するユーザーには、空白期間の保守料金を遡って請求しない旨をパートナーに告知しており、既存Informixユーザーへの働きかけを強めていく。米国では会員登録制のInformix技術情報サイトもスタートしているが、来年早々には日本でも情報提供を開始したいとしている。

 10月末、メディアでの出荷も始まったDB2 V8.2(コードネーム:Stinger)が好調な滑り出しを見せているといい、さらに大規模な乗り換えキャンペーンも展開している。同キャンペーンは競合製品のユーザーがDB2やInformix Dynamic Serverに乗り換える際、通常料金の73%オフで提供するもの。値引き後の価格は、Oracleユーザーが毎年支払っている保守契約料金とほぼ同額となり、そのままの予算で乗り換えることができるというわけだ。標的は明らかにOracleといえる。

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