「○○さんに聞かなければ……」からの脱却ITILを深める! サービスサポート編(2/2 ページ)

» 2005年08月17日 12時27分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]
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 構成管理は常に最新で正確な情報を提供するものであるが、組織としてこれを「最新で正確な情報である」と共通の認識を持っていなければ意味を成さない。

 よくある事例として、誰もが「○○さんに聞かなければ分からない……」というやり取りを一度はどこかで聞いたことがあるはずだ。しかし、安定した運用管理を目指すのであれば、これは悪い事例として評価せざるを得ない。

 特に、ユーザーから対価を受け、サービスを提供しているサービスプロバイダーの立場であれば、人に依存しないサービス提供が必須であり、常に一定のサービスレベルを保つ組織でなければならない。これが実現できなければ、ユーザーとのコミットメント、いわゆるSLA(Service Level Agreement)を守ることが難しくなる要因となる。

 ただ、構成管理のあり方は、CMDBを扱う企業(組織)の体制・体質・利用目的などによっても変わってくる。先に述べた、人に依存しないサービスについても、特定の項目や場面においては、一部依存したサービスとして残した方が、結果的にはユーザーから付加価値として、満足を得られる場合があることも、合わせて追記しておきたい。

 また、CMDBの情報は、使い方次第でさまざまな効果が期待できる。最新の情報を保管するだけでなく、トラブルを未然に防ぐため(システム拡大に伴うインフラ強化など)の情報源として利用したり、サービスを提供する立場であれば、次期提案へのタイムリーな営業活動を行うため(リース機器のリプレイス時期など)の情報源として、機会損失を軽減させるなど、CMDBにある情報を積極的に活用することが重要である。

図2 図2■CMDBの活用

 運用管理の観点では、ユーザーと長期的で円滑な関係を築く必要がある。例えば最近では、CMDBをユーザーと共有するという動きもある。SLAで定義された範囲であるか、それともイレギュラーな事象であるかなど、ユーザーと共通の認識でサービスを展開できるというメリットがある。このように、ユーザーとのパートナーシップを強化することで、満足度を向上させ、ユーザーとともにサービスレベルを高めることができれば、理想の運用管理に近づくといえるのではないだろうか?

 最近ではITILを実現するためのツールとして、各社からさまざまな製品が紹介されており、構成管理の構築を支援するものも多く存在する。ただ、これらを導入すれば、確実に実現できるか、というと一概にはそうとも限らない。

  1. ITILのプロセスと、自社の体制を比較する
  2. ITIL導入の実現範囲の設定をする
  3. 自社のCMDBには、どのようなCIが必要かを確認する
  4. 効果を予測する

といった4項目を心がけ、自社にあった構成管理プロセスを実現すべきである。

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