社員にライセンス意識は芽生えるのか?悲劇は喜劇より偉大か?

社内ではさまざまなソフトウェアが利用される。組織拡大と共に運用が破綻するのはよくある話だ(攻めのシステム運用管理)。

» 2005年08月08日 09時18分 公開
[若葉田町,ITmedia]

 社内ではいろいろなソフトウェアが利用されることが一般的である。すべてのソフトウェアライセンスを管理できることが理想的だが、現実的にはそこまで完璧に管理しきれている企業はまれであろう。今回は、ソフトウェアライセンスをおろそかにしたおかげで、高価なソフトウェア支払いをするハメになった悲劇の話である。

管理しきれないのでそのまま貸し出し

 使う必要のある人には、厳密な審査の元ライセンスを発行する仕組みがあることが理想的である。しかし、現実問題としてそこまで管理するのはとても大変である。わが社は最初の頃はアプリケーションのCD媒体を貸出表を使いながらきちんと管理していたが、組織拡大と共に運用が破綻し、結果的にCD媒体を置いておき、使いたい人が自由に使えるような方式で落ち着いた。こうした運用をしている会社は意外と多いのではないだろうか。

 このような運用を始めてみると、いろいろ問題が発生した。不必要なソフトウェアインストール実績、CD媒体の紛失などの問題が多発した。あまりの事態に、上司より「大至急なんとかせよ」との指令が下った。

 そこでまず、最初実態調査を行った。ソフトウェアインストール状況を調査するためのフリーソフトを利用して、社内のPCの情報を収集し分析してみた。すると驚くべきことが分かった。高価なソフトウェアが業務上ほとんど必要ない社員のPCに、大量にインストールされていたのだ。

 事情を聞いてみると、「いつか使うと思って」「使ったことがないソフトなので一度インストールしてみたかった」「開けないファイルがあったので、このソフトを入れたら開けるかもしれないと思って」――社員達のあまりの意識の低さにただただ呆れるしかなかった。CD媒体紛失についても社員の意識の低さが本質的な原因であると予想できた。当事者達はこの件あまり深く考えていないのではないだろうか?

バイナリーをサーバ上に置いてみた

 CD媒体の厳密な管理は体制的に不可能だったので、ファイルサーバにイメージを置いておくという方法を考えた。これならアクセスログを見れば、誰がアクセスしたか一目瞭然である。しかしこの方法で運用してみると、今度はダウンロードしたイメージを社員同士で利用したりそれをCDRに焼いて自宅に持って帰るなど、新たな問題が発生した。

 結局、社員の意識が向上しないと、必ず抜け道を突かれるということのようだ。法的リスクを回避するために、経営判断により必要よりかなり多めのライセンス数を確保するという方向でまとまざるを得なかった。

教訓

 ソフトウェアライセンスは、目に見えないためどうしても社員の意識は低くなりがちである。いろいろな方法を試したが、結局は社員のモラルの問題になってしまうようである。性悪説的にアクセス制限をかけることも重要だが、教育を施し性善説的に社員のモラル向上に期待することも必要だと感じている。

若葉田町


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