転機到来か! 企業のデータベース環境データベースの「生きる道」を探る 第1回

企業の戦略的資産としての情報を活用するために、データベースの役割が注目されている。だが、満足のいく情報活用ができている企業は多くないとか。その理由はいかに――。

» 2006年11月06日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),アイティセレクト]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「新時代突入の予感 使えないハコモノに終わらせるな!――データベースの『生きる道』を探る」でご覧になれます。


複雑性を増す企業におけるデータ環境

 今、企業の関心は、いかにして膨大な情報を整理・統合し、有効に活用するかということに大きく向けられている。翻って、それは信頼できる正確な情報を迅速に入手できないという課題の裏返しともいえる。現在のビジネス環境では、投資対象を経営の効率化からビジネスの拡大・変革へとシフトしつつも、さまざまなリスクやコンプライアンス、顧客ロイヤルティーの変化、複雑化するサプライチェーンなどへの対応に追われ、企業の戦略的資産である情報の適切な活用はままならない状態だ。また、業界再編や企業の買収・合併といった環境変化によって、情報システム上にERPが複数存在することなど、もはや珍しいことではなくなっている。それらを取り巻くサブシステムが複雑に連携しながら運営されているため、アプリケーション間を疎結合して開発生産性のスピードを向上させようとするSOAで解決を図ろうとしているのが現状だ。

 だが、そのすべてにデータが関係しているため、複雑性はより一層増すことになる。アプリケーションと一体となって柔軟性を欠くデータや多様なソースに多様なフォーマットで点在するデータ、不整合・低い鮮度・重複など品質に問題のあるデータが、基幹業務、情報系双方におけるデータベース運用に不安な影を落としている。

構造化されて管理されているデータはわずか

 そんな“質”もさることながら“深さ”も問題だ。ある調査結果では、データベースで管理されている構造化されたデータの割合は、わずか15%程度にすぎなかった。つまり、残りの85%はオフィス文書やイメージ情報、Web情報などの非構造化データで凍結し、データベースのシステムから引き出せない状態で放置されているのである。そうした構造化されていないデータは見つけ出すのに時間がかかる。実際、社員は業務時間の7割をその検索作業に費やしているという。

 大半の企業がその調査結果と同様の状況にあるとすると、自社のデータベース環境を見直す転機が来ているといえそうだ(「月刊アイティセレクト」12月号のトレンドフォーカス「データベースの新潮流 世界初の製品誕生 ハイブリッド型で大激震が起きるか」より)。

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