日銀の第3次利上げ時期を占う――選挙と金融政策の関係景気探検(2/2 ページ)

» 2007年06月26日 07時00分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,アイティセレクト]
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 経済企画協会の「ESPフォーキャスト調査」(5月調査)によると、日銀の次回の引上げ(第3次利上げ)の時期について無回答を除く33名のエコノミストの予測は、6月が1名、8月が8名、9月が9名、10月が9名、11月が6名となっている。参議院議員選挙の選挙期間中に当たる見通しの7月を排除して回答しているようである。

 選挙と金融政策の関係を過去のデータで確認しておく。現憲法下で、全国規模の衆参国政選挙期間の金融政策の変更についてみると、衆議院選挙中には変更は実施されていない。参議院選挙期間中では1965年6月26日の公定歩合引き下げ、95年7月7日の無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標水準引き下げと、政策金利の引下げは2度あったが、景気にマイナスになる利上げは例がない。投票日直前の利上げは選挙結果に影響を及ぼすとの懸念から、日銀が政治的に配慮していた可能性があるのかもしれない。

 しかし、98年4月の新日本銀行法施行に伴い、日銀の独立性はより確かなものになった。政治日程と金融政策は関係ないというのが現在の日銀の見解だ。7月の可能性はないわけではないのだろうが、まだ7月の時点では経済・物価状況が第3次利上げを実施できるタイミングではないだろう。9月頃になると、日銀の利上げができる環境が整う可能性はかなり大きいのではないかと考える。

(「月刊アイティセレクト」2007年8月号の「景気探検 第64回 時代を読む」より)

たくもり・あきよし

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。


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