クラウドコンピューティングの将来は明るい――Forresterの予測企業ソフト市場に進出へ

最近の調査によると、プロバイダー各社は現在、Webカンファレンス、コラボレーション、ITサービス管理などの分野のサブスクリプション型SaaSアプリケーションの販売で業績を伸ばしている。SaaSでは従来、CRMや人材管理アプリケーションの販売が好調だった。

» 2009年03月16日 12時14分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 IT調査会社のForrester Researchは、クラウドコンピューティング――言い換えればSaaS(サービスとしてのソフトウェア)――技術が、従来とは異なる業務分野で急速に普及しつつあることを示す証拠を明らかにした。同社が3月13日に公表した最新の調査結果によると、プロバイダー各社は現在、Webカンファレンス、コラボレーション、ITSM(ITサービス管理)などの分野のサブスクリプション型SaaSアプリケーションの販売で業績を伸ばしている。

 SaaSが最初に成功したのは、CRM(顧客関係管理)とHCM(人的資本管理)アプリケーションの分野での販売であり、これらは2003年から始まった。Forrester Researchによると、この2つのアプリケーションは依然として、企業市場で大きな成長の可能性があることを示しているという。「これらの分野は向こう10年間にわたり、SaaS方式によって大きな成功を収めるだろう」とForresterは予測する。

 今日の景気後退の中にあっても、3月12日にサンフランシスコで開かれた「OpSource SAAS Summit」に参加したSaaSユーザー、ベンダー、業界アナリストらは、慎重ながらも楽観的な見通しを抱いていた。SaaS/Web企業向けに総合的なWeb運用スイートを提供する新興企業であるOpSourceのトレブ・ライアンCEOは、「当社の売り上げ見通しから判断すると、2009年は初めて黒字決算になる見込みだ」とeWEEKの取材で述べている。

 eWEEKは3月13日付の記事で、Strategy Analyticsの調査結果についても報じた。同社の報告書によると、リアルタイムネットワーキングツールとして、また、不況に対抗するためのコスト削減手段としてSaaSの人気が上昇中だとしている。

 Forresterの調査では、成長力と成功可能性に基づいて上位14にランクされたSaaSアプリケーション技術を評価した。

 これはForresterの「TechRadar」シリーズの最新の調査となるもの。TechRadarは、一連の関連技術の向こう10年間の成功可能性を予測することを目的とした調査手法である。

 今回の調査を統括したForresterのシニアアナリスト、リズ・ハーバート氏は「SaaSアプリケーションは当初、人事管理とCRMの分野で市場に受け入れられたが、これらの分野にとどまることなく、エンタープライズソフトウェア市場でも大きな影響力を持つようになった」と指摘する。

 「SaaSは今後も普及が拡大する見込みであり、今では広範なアプリケーションで重要な技術になった。今回の調査結果は、今後10年間の投資計画の策定に際してSaaS技術を検討しているエンドユーザーに戦略的な方向性を提供するものだ」とハーバート氏は語る。

 今回のSAAS TechRadar評価は、業界エキスパート、SaaSアプリケーション技術の開発/導入を手掛けるベンダー、各種のSaaS技術の企業ユーザーへのインタビューに基づく。

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