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» 2009年06月02日 06時00分 UPDATE

わが社のコスト削減:「8時間の使い方」を変えよう

EMCジャパンの鈴木信彦常務執行役員は、「個々のスタッフが自分の働き方を見直していくことが、最大のコスト削減につながる」と話す。

[大西高弘,ITmedia]

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代替手段をフル活用してコスト圧縮

emcsuzuki.jpg 「リソースを作り出す手段として時間管理は大切な仕事の1つ」と語る鈴木信彦氏

 ストレージ製品を始め、企業の総合的なITインフラ構築分野などで事業を進めるEMCジャパン。同社はユーザー企業が数年前から開始している、効率を重視したインフラ関連投資を背景に順調に業績を推移させている。しかし、世界的な経済危機の影響から免れたわけではない。

 「会社全体として、EMCも無傷ではありません。昨年の第4四半期で、それまで21四半期連続で達成していた対前年同期比10%以上の成長が途切れました。来期も大きな期待はかけられない状況です」と語るのは、同社常務執行役員で管理統括本部長の鈴木信彦氏。日本法人だけでなく、コーポレート全体の課題としてコスト削減は緊急の課題だ。

 「まず、出張先の宿泊場所も決められたところでなければ泊まってはいけないということになりました。また今までは10時間以上のフライトならビジネスクラスでも良かったが、エコノミーにすべしという指示が出ています。EMCジャパンでは海外出張は基本的に禁止。これは役員も含みます。電話会議など代替手段をフル活用することで対応するようにしています」

 業務の効率化という点では、同社は以前からさまざまな取り組みをしている。代表的なものとして挙げられるのは、4年ほど前に設置した「コンフィグレーション&クオートセンター」。営業部隊の支援をする部署で、見積作成などを一手に引き受ける。顧客との接点を増やす施策として作られたが、かなりの効果を上げているそうだ。

 「このセンターはジャパンで始めて、今はアジア各地に広がっています。コーポレート全体での社長賞を獲った施策です。『チーム・マイナス6%』の取り組みも当然やっています。ただ、こうしたレベルの取り組みは多くの会社でやっていることなので、わが社のコスト削減策として胸を張るほどのものではないでしょうが」

仮想化に似ている余分なリソースの作り方

 鈴木氏が「どこの会社さんでもやっていること」と話してくれた小さなコスト削減策はまだある。EMCジャパンのオフィスは新宿の高層ビルにあるが、同社が借りているフロアは、EMCが管理会社と協議して備品などを設置する。以前はトイレにペーパータオルを置いていたが、これをジェット風流式の乾燥機に変えたそうだ。それだけでも、年間で100万円の節約になるという。カラープリンタはデフォルトでモノクロに設定した。これはワールドワイドで昨年秋から実施している。外部調達についても購買組織を強化してコストの絞り込みを進めているという。

 また、これまで19時30分にいったん、オフィスの明かりを落としていたが、それを18時30分に繰り上げた。もちろん、それ以降も仕事をする場合は点灯しなおすことができるが、意識を変えるのに役立っているという。

 「このほかにも、PCの切り替えを3年だったのを4年にする、パワーポイントは2アップにする、コピーやプリントも両面で使う、細かい削減策でいえばいろいろとやっていますが、問題は意識を変えてもらいたいということです。生産性を上げるためには、どうすればいいかということ。当然のこととして、使っていない明かりは消す。そうしたビヘイビア、態度を持ち続けてもらいたい」と鈴木氏は語る。

 小さな無駄を排除していくことが、仕事の無駄を消していくことにもつながると鈴木氏は考えているようだ。

 「今、サボっている社員がいるとは思っていない。だからこそ、仕事の仕方を変えることで、個人のリソースに余裕ができ、別の仕事もこなせるようになるのではないか。そういう発想を持ってもらいたいのです。ある仕事を8時間かけてこなしていたとします。しかし、多少クオリティを落とせば、4時間で済む。単純には言えないですが、その仕事に関してクオリティが落ちてどれほどの問題が生じるのか、そこを考えなくてはならないということです。そうして通常よりも4時間分できた余裕を、例えば他の部署のスタッフと協力しあい新しい仕事に振り分けることもできるようになる。こうしたことをマネジャークラスの人たちとよく話をしています」

 細かな節約の取り組みは、社員1人1人の仕事の効率化に確実につながっていく。鈴木氏によれば、具体的な指標を設けて、個人の仕事の見直しに関してチェックしていることは今のところないという。

 「自主性を重んじる社風なので、具体的な数値目標は設けていない。ただ、業務改善の提案コンテストなどをやるのもいいのでは、と考えている。わたしたちの事業コンセプトは『インフォメーションインフラストラクチャ』。持っているリソースをいかにコストをかけずに、安全に、有効活用していくかということ。これは社員のリソース改善、さらに言えば経営そのものの課題にも通じることです」

 確かに、同社が提唱するソリューションには仮想化、統合化などの手法が使われる。考えてみればこれは『通常よりも4時間分できた余裕を、例えば他の部署のスタッフと協力しあい新しい仕事に振り分ける』というチャレンジに似ている。ストレージのリソースも、社員のリソースも刻々と変化していく。必ず、使われていない余分なリソースが存在しており、それを使って新しいパワーを引き出すことはマネジメント担当者必須の課題といえるだろう。

 「社員の困ることはしない。やって当然でしょうということはやる。シンプルに言えばそういうことです。生産性を上げるための施策については、トップとも常に話をしています」と語る鈴木氏。細かな、目に見える工夫を、見えにくいビヘイビアの変化につなげていこうというチャレンジはまだまだ続きがあるようだ。

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