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» 2009年07月31日 08時00分 UPDATE

システム構築の新標準:プライベートクラウド構築を現実解にする (1/2)

プライベートクラウドには、運用のガバナンスの整備や業務プロセスの標準化など、乗り越えておくべき課題が多い。大手ベンダーが提供するサービスを正しく理解することで、プライベートクラウド構築は実現に近づく。

[ 岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 前回は、企業が情報システムの構築に「プライベートクラウド」を取り入れるための手順と、その際に考えておくべき要点をまとめた。今回はこれらを踏まえた上で、大手ベンダーが提供するプライベートクラウド関連のサービスと各社が描くクラウドコンピューティング(以下クラウドと略記)に対する戦略を取り上げる。プライベートクラウドの構築に当たり、具体的にどのようなサービスを活用すべきかを判断する材料にしていただきたい。

充実した製品ラインアップが強みのIBM

 IBMは現在、プライベートクラウドに最も注力しているベンダーだ。「Smart Business」と呼ぶクラウド関連のブランドを掲げ、サービス群「Smart Business Services」および製品群「Smart Business Systems」を打ち出している。

 プライベートクラウドの中核となるのが、製品とサービスを1つにパッケージした形態で提供する「IBM CloudBurst V1.1」だ。ブレードサーバやストレージなどのハードウェア、VMware製品による仮想化、Tivoli製品による統合的な運用管理、仮想イメージの集合をユーザーが利用するための「サービスカタログ」と呼ぶセルフサービスポータルを提供する。先に述べたプライベートクラウドを構築する3つのステップに必要な要素を網羅したパッケージ製品といえる。

 プライベートクラウド環境において、仮想化された業務システムの展開や配備を行うアプライアンス製品として「IBM WebSphere CloudBurst アプライアンス V1.0」も提供している。これは仮想化されたWebアプリケーションの実行環境である「WebSphere Application Server Hypervisor Edition」上で稼働し、業務システムイメージを配信するものだ。

WebSphere CloudBurst アプライアンス WebSphere CloudBurst アプライアンス(出典:日本IBM)

 システム管理者業務プロセスを定義/設計するための「BPM BlueWorks」も注目すべき製品だ。異なる拠点の管理者がWebブラウザ経由で同じ画面を共有し、業務プロセスを構築できるようになる。プライベートクラウドの構築において、企業の各部門の業務プロセスを共通化/共有化しておくことは外せないポイントだが、それに対するIBMの解といえる。

 IBMの大きな強みは、プライベートクラウドを実装する製品群だけでなく、業務プロセスの共通化/共有化までを支援するツールも提供している点にある。

独立した2つの施策を同時に進める富士通

 富士通はプライベートクラウド関連の2つの施策を掲げ、個別に展開している。

 1点目が「Trusted-Service Platform」と呼ぶ施策だ。これは館林市に設置した同社の最新のデータセンター内に仮想化したサーバ環境を用意し、ユーザー企業の情報システムを構築、運用するもの。考え方はパブリッククラウドやXaaSに近い。ユーザー企業がこのサービスを使って運用する情報システムにどれだけガバナンスを効かせられるかは未知数といえる。

 2点目が「プライベートSaaS」だ。これはパートナー企業と共同で提供する汎用的なSaaS(サービスとしてのソフトウェア)では対応できない固有の業務システムの構築を請け負い、ユーザー企業やグループ企業、その取引先などに提供するものだ。同社のSaaS事業の1つという位置付けである。コンセプトはXaaSに近いが、ユーザー企業のガバナンスが十分に確保されれば、プライベートクラウドを構築、運用するためのアウトソーシングという位置付けに進化する可能性がある。

 2つの施策にプライベートクラウドという言葉は直接出てこない。だが、ユーザー企業がガバナンスを維持した上でデータセンターやアウトソーシングを活用できる環境が整えば、支持を集めていきそうだ。

Trusted-Service PlatformプライベートSaaS Trusted-Service Platform(左)およびプライベートSaaS(右)の概要(出典:富士通)
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