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» 2009年10月14日 08時00分 公開

アナリストの視点:表示モニター、サイネージ、電子黒板――業務用ディスプレイ市場の今 (1/2)

近年、家庭用テレビだけでなく、街頭や店舗などで大型/小型ディスプレイを目にする。商品の販売促進や交通案内の表示、店舗誘導などに業務用端末を使う企業が増えているからだ。それに伴い、業務ディスプレイの市場はどのように推移するのだろうか。

[石川博満(富士キメラ総研),ITmedia]

アナリストの視点では、アナリストの分析による数字の裏付けを基に、IT市場の動向やトレンドを探ります。


業務用ディスプレイ市場の概況

 業務用ディスプレイはこれまで、大学や専門学校、カラオケボックス、ボウリング場において、ブラウン管を利用した業務用表示モニターとして導入されていた。その後、薄型のPDP(プラズマディスプレイパネル)や液晶モニターが登場し、画面サイズの大型化や製品の低価格化が進んだ。また、大型表示モニターとしてはフロントプロジェクターが会議室で広く活用されている。

 屋外に設置して使う大型のフルカラーLED(発光ダイオード)ディスプレイは、競技場の大型ビジョンや主要都市のビルボード(屋外看板)などで、導入が進んでいる。また文字情報を表示するLED/VFDメッセージボードは、道路の情報板や駅構内、車両内の表示板、飲食店の販売促進や店舗の誘導といった用途で普及している。

 このように、液晶/PDPモニターやフロントプロジェクターなどの業務用ディスプレイは、企業や教育機関で会議や講義用のモニターとして活用されている。近年は案内板や店舗への誘導を目的として、デジタルサイネージ(電子看板)を導入する公共施設や交通機関、商業施設が増えている。これに伴い、業務ディスプレイ市場も堅調に拡大してきた。

2009年のディスプレイ市場動向

 国内における2009年(1〜12月)の業務用ディスプレイの市場規模は、数量では45万6250台(前年比102.5%)、金額では1545億円(前年比98.9%)となり、前年からほぼ横ばいの推移と見込まれる(図1)。

国内主要業務用ディスプレイ市場規模推移 図1:国内主要業務用ディスプレイ市場規模推移(数量は液晶モニター、PDPモニター、デジタルテレビ、フロントプロジェクター、リアプロジェクターの5製品を対象、金額は5製品にフルカラーLEDディスプレイ、LED/VFDメッセージボードを加えた7製品を対象)(出典:富士キメラ総研デジタル映像総覧(2009年版)』)

 近年は堅調な推移を見せてきた業務用ディスプレイ市場を「プロジェクター」「薄型モニター」に分けて見ると、プロジェクター市場の落ち込みが目立っている。2008年から続く不況により、一般企業からの需要が低下したことが主な要因だ。薄型モニター市場は2009年上期にニーズが減少したが、下期は交通機関や商業施設向けの大型案件の増加や、小中学校向けの電子黒板といった特需が見込まれる。そのため全体としては前年よりも市場規模は大きくなる見通しだ。

 屋外向けの製品は、フルカラーLEDディスプレイの市場規模が2009年に減少する。2008年に、競技場や公益事業法人向けの大型案件が多数出たため、その反動で市場規模が縮小する。道路の情報表示板が主な用途であるLED/VFDメッセージボードは、景気による影響が少なく、2009年も安定した推移を保つ。

需要先別でも前年割れが目立つ

 需要先ごとの市場規模を表したのが図2だ。一般企業の需要が大きい。これは会議室のプロジェクターやモニターとしての用途が多いからだ。だが、2009年は不況の影響を避けられず、2008年比で94.1%にとどまっている。また前年比で見ると、業界全体で不況のあおりを受けた金融機関および鉄道車両向けの小型液晶モニターの需要が減った交通機関も、市場規模は横ばいから減少となる。

国内主要業務用ディスプレイ需要先別市場規模 図2:国内主要業務用ディスプレイの需要先別市場規模(2008年実績/2009年見込み)(出典:富士キメラ総研デジタル映像総覧(2009年版)』)

 一方、需要が好調なのは、流通/店舗および教育機関だ。

 特に総合スーパーに代表される大型商業施設やコンビニエンスストアなどの全国チェーン店がデジタルサイネージを導入し始めており、2008〜2009年は店舗/商業施設向けディスプレイの大型案件が増えている。それに加えて、ディスプレイや配信システムなどをパッケージ化した低価格のサービスも出てきており、小口案件も増える傾向にある。

 教育機関では、政府が掲げる「スクール・ニューディール」構想において、公立の小中学校に原則1台の電子黒板を導入するという方針が打ち出されたことにより、特需が期待される。この構想では、50インチ以上の薄型モニターを搭載した電子黒板の導入が推奨されているからだ。ただし、実際にはこれまで小中学校向けの電子黒板として主流だったプロジェクターを活用したシステムも導入されるなど、採用する教育委員会ごとにディスプレイは異なっている。

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