インタビュー
» 2009年11月20日 00時00分 UPDATE

Dreamforce 2009 Report:「SharePointはもはや古い技術」――Salesforce Chatterの狙い

「クラウドコンピューティングとソーシャルネットワークをリアルタイムに企業に結びつけることで、企業のあり方は大きく変化していくだろう」とsalesforce.comのCMO、ケンデル・コリンズ。時代遅れの企業システムをSalesforce Chatterはどう変えるのかを聞いた。

[西尾泰三,ITmedia]

 米国サンフランシスコで11月18日(米国時間)から開催されている「Dreamforce 2009」。ここで、クラウドから提供されるものが単なる水蒸気などではなく、企業のシステムとより密に結びつくべきものであること、そして、ソーシャルネットワークを日常業務に応用する道を「Salesforce Chatter」で示したsalesforce.com。Salesforce Chatterの提供は2010年の予定だが、同社のCMO(チーフマーケティングオフィサー)を務めるケンデル・コリンズ氏は、「Chatterは真の意味でリアルタイムコラボレーションを提供する。クラウドコンピューティングとソーシャルネットワークをリアルタイムに企業に結びつけることで、企業のあり方は大きく変化していくだろう」と断言する。同氏に話を聞いた。

ケンデル・コリンズ 「Chatterは真の意味でリアルタイムコラボレーション」と話すコリンズ氏

―― salesforce.comではすでに社内でChatterを使っていますか?

コリンズ いや、まだ使っていません。ただし、マーク(ベニオフ)はかなり前から広告戦略などをFacebookやTwitter上でやっていて、Chatterの原型を自ら実践していたように思います。長年の間、われわれとFacebook、Twitterは“よいお友達”で、パートナーという関係を続けてきました。正式な開発協力こそありませんが、関係が非常によいということは、基調講演でTwitterのジェイソン・ゴールドマン氏がサプライズゲストとして登場したことからも分かっていただけると思います。

―― force.com上に構築されたほかのアプリケーション、つまりService Cloud 2、Sales Cloud 2、Custom Cloud 2はいずれもクラウドの名を冠していますが、なぜChatterだけ特徴的な名前がつけられているのでしょうか?

コリンズ マークがそう選んだからです(笑)。会社の中で交わされる“会話”(chat)には、企業をさらに成長させる価値、つまりチャンス(chance)が眠っているというダブルミーニングが頭にあったのではないでしょうか。

―― セキュリティモデルについてはどのように考えていますか?

コリンズ ソーシャルネットワークを企業内で利用するに当たっては、さまざまな法的問題が生じる可能性があります。そこには責任、信頼、良識など、さまざまな要素が混在するわけです。例えばFacebookは「すべてのものをすべての人とシェアする」ようにデザインされています。しかし、企業内データにこのデザインは合いません。Chatterでは、すべての情報をオブジェクトレベルで基本的にプライベートとし、そこから誰に見せていいのかパーミッションを与えていく(Facebookとは逆の)シェアリングモデルをデザインしています。

 もちろん、salesforce.com内の権限設定データとは連携し、SAPやOracleの外部データでも、セキュリティ上の用件を満たせば自動的に権限を引き継ぐようになっています。TwitterやGoogleニュースなどのクラウドソースのデータについてもセキュリティチェックをした上で取り込むことができます。ただし、その逆、つまりchatter上のデータを外部にエキスポートすることはできません。情報漏えいのリスクを考えないとならないためです。

―― chatterによって情報過多が発生し、逆に意志決定に影響を与える可能性についてはどう思いますか?

コリンズ 例えばわたしはマーケティングの人間なので、見込み客には非常に興味があるが、注文がその通りに届いたか、あるいは請求書が誰に払われたかといったことはわたしにとってはあまり重要ではありません。可能な限り“リアルタイムで”“多くの”“正しい”情報を得るかというのがポイントとなります。われわれは、こういった関係性はオブジェクトレベルの粒度で評価していくことで理解できると考えています。具体的なロードマップとしては、レーティングやインテリジェントフィルタなどを実装してユーザーが欲しい情報だけを選別して取得できるようにしていくつもりです。最終的にはきわめて高度にパーソナライズされ、全社員一人一人に合わせた情報が提供されるというのが大きな差別化につながると思います。

―― chatterに向いている業界と向いていない業界は?

コリンズ 金融業界はセキュリティやコンプライアンスといった観点から導入が遅れるかもしれませんね。一方で、コラボレーションの価値を糧にできる企業には向いていると思います。日本でいえば、ハイテク産業などではchatterを有効に使ってもらえるでしょう。

 日本はどちらかといえば保守的な文化といえるかもしれません。ただ、そうした企業でも例えばSharePointなどでドキュメントシェアくらいはしているわけです。しかし、わたしたちはSharePointはもはや古い技術であると考えています。コンテンツとアプリケーションと人を統合してそうした古い技術を変えていこうじゃないかというのが、企業におけるコラボレーションでありソーシャルネットワークであり、chatterなのです。

 一方で日本は、クラウドコンピューティングという観点ではかなり進んでいるとも思います。古い技術で固められて身動きがとれなくなってしまったイントラネットを“賢く”使いたいと考えるCIOが多く登場するのではないでしょうか。

―― ChatterはSalesforce CRMとForce.comのすべてのライセンスに含まれるということですが、chatter単体のエディションも用意するのにはどういった狙いがあるのですか?

コリンズ 新たな顧客を獲得するため、というのが1つ。社内の全ユーザーが利用対象者であるchatterは、過去にわれわれが提供したどのツールとも異なります。chatterのターゲットはsalesforce.comを導入して“いない”すべてのユーザーであり、それにより新たなデータが取り込めるとも考えています。

 もう1つは、Force.comのプラットフォームで提供されるクラウドコンピューティングの価値をさらに推し進めるための加速剤にしたいという期待でもあります。いずれにせよきわめて戦略的な製品です。

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