「ネットオンリーOS」はどんなもの? Chrome OSを使ってみた

Google Chrome OSはまさに「ブラウザがOSだったらどうなるか」を体現したOSだ。開発者向けの初期バージョンで、「ネットオンリーOS」を体験してみた。

» 2009年12月08日 07時30分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 1990年代半ば、MicrosoftはNetscapeと戦っていた。Webブラウザ市場を支配するためではなく、NetbookブラウザがWindowsの脅威になること――NetscapeブラウザそのものがOSになり得ること――を恐れたからだ。

 それから10年以上がたち、われわれはついに、ブラウザがOSだったらどうなるかを目の当たりにしている。Google Chrome OSがまさにそうだからだ。少なくとも、最新リリースされた初期の開発者バージョンはそうだ。ほとんどの部分で、ChromeブラウザがChrome OSの唯一のインタフェースになるからだ。

 実際、Chrome OSの使用感を味わってみたいのなら、Chromeブラウザを立ち上げて、1日中同ブラウザを使ってコンピュータ作業を済ませるといい。そうすれば、Chrome OSが提供するものの約90%は体験できるだろう。

 公正を期して言うと、この記事はかなり初期の段階のChrome OSのレビューだ。基本的には多くの点でプレα版だ。来年末のリリース前に大きく変わる可能性もあるが、今回試した開発者向けリリースは、ほとんどの作業をWebで実行するOSについて興味深い問題を提起している(開発者向けChrome OSのスライドショーはこちら)。

 Googleによると、同社はChrome OSをスタンドアロンのOSとしてリリースする計画はなく、PCメーカーと提携して、同OSをNetbookなどのデバイスに搭載するという。だがChrome OSはオープンソースプロジェクトなので、どのシステムにもダウンロードしてインストールできるバージョンを作ることは可能だ。

 開発者バージョンをテストするために、わたしはソースコードをChromiumサイトからダウンロードして、Ubuntu VM(仮想マシン)上でビルドした。インターネットからChrome OSのビルド済みイメージもダウンロードして、別の仮想マシン上にロードした(ほとんどの人にとっては、後者のやり方の方が簡単にChrome OSを入手できるかもしれない)。

 最初にChrome OSを立ち上げると、シンプルなログイン画面が表示される。既にGmailアカウントを持っているのなら、そのログイン情報を使ってChrome OSを起動できる。

 Chrome OSが起動すると、基本的には標準的なChromeブラウザの画面が現れる。だが、画面の左上に独自のボタンが表示され、このボタンをクリックするとアプリケーションページが立ち上がる。これは、開発者向けChrome OSとChromeブラウザの数少ない違いの1つだ。このページには、Chrome OS内で起動できるアプリケーションの既定のリストが表示される。その中には、Gmail、Google Apps、Calendar、Picasa、YouTubeなど、皆さんの予想通りのGoogleアプリが並んでいる。Yahoo! Mail、Pandora、Hulu、Facebook、TwitterなどのWebアプリも入っている。

 これらアプリのほとんどはWebベースであるため、アプリケーションページから起動すると、ブラウザ内でタブが立ち上がり、そこで実行される。だがこのリストには、システム内にあるアプリも2、3入っている。その1つがシンプルな電卓機能で、画面右下に立ち上がる。電卓を最小化すると、右下隅にボックスとして表示される。

 アプリの中には、Google.comへのログインが必要なものも幾つかある。つまり、少なくとも今のところは、これらアプリはGoogle社員でなければテストできないということだ。

 ユーザーはいずれ、このアプリケーションページをカスタマイズできるようになるようだ。アプリケーションショートカットを作成するための画面には、アプリケーションメニューにショートカットを追加するオプションがあるからだ。しかし、開発者向けビルドではこの機能は使えなかった。

 Chrome OSには、フルスクリーンのブラウザではなく、新しいOSを実行しているのだとユーザーに思わせるような小さなエリアがほかにも少しだけある。右上の3つのアイコンは、基本的なシステム情報と設定オプション用だ。1つ目は、クリックするとバッテリー残量を表示し、2つ目のアイコンは無線・有線のネットワーク設定を、3つ目はChromeブラウザのツールメニューとほとんど同じオプションを表示する(違っているのは、タッチパッドとタイムゾーンを設定するタブがあることだ)。

 これらのオプション以外の設定は、ブラウザ設定から直接持ってきたものだ。別のブラウザをデフォルトにする設定項目もある。おそらくは、Chromeブラウザのメニューをそのまま取り込んだ結果なのだろう。GoogleがChrome OSに別のブラウザやディスクベースのアプリをインストールすることを認めるとは思えない。

 実行中のプロセスやメモリ使用状況を確認できるタスクマネージャも(タイトルバーを右クリックすると)利用できる。

Webがないと……

 Chrome OSはかなりChromeブラウザに似ているように感じたが、開発者向けビルドはブラウザオンリーのOSがどんなものになるのかという興味深い実態を見せてくれた。

 Webベースのアプリやツールにしかアクセスできず、日常的な作業の大半はWebで処理できた。わたしは少なくとも、Webベースアプリだけを使って作業することは想像できる。

 だがテストの際に、Webオンリーモデルの課題に突き当たった。Chrome OSをテストをしていた数日間のうち、2時間以上インターネットに接続できない日があった。その2時間の間、Chrome OSは役に立たなかった。WebベースOSは、Webなしでは大したことができないとが分かった。

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