企業Twitter、「周到な準備」不可欠に

日本企業のTwitter活用が進んでいる。ループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長は、Twitterの運用において「用意周到な準備が大切だ」と強調する。

» 2010年08月18日 08時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 日本企業のTwitter活用が進みつつある。ループス・コミュニケーションズとNTTレゾナントが7月に実施した調査によると、企業のTwitter運営担当者(315人)の49%がここ3カ月でTwitterの運用を開始した。また回答者の6割近くがWebサイトのアクセス数や問い合わせが増加したと答えている(企業Twitterの今)。

ループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長 ループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長

 ループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長は企業Twitterの運用について、「効果を体感するには、一定のフォロワー数が必要。なんとなく始めるのではなく、しっかりとした企画の作り込みが大切になる」と指摘する。

 企業Twitterの目的は、顧客との関係性の向上から売り上げ増まで多岐にわたる。ではどうすれば実際の成果に結び付けられるのか。斉藤氏はまず「目的と効果測定指標を決めること」を挙げる。Twitter運用の目的として「対話」「販売プロモーション」「顧客サポート」「コラボレーション」という4つを挙げ、それぞれに対して指標を設定するべきだと話す。

 次は組織体制の整備だ。鍵を握るのは「コミュニティーマネジャー」の選定である。ソーシャルメディアを理解し、顧客満足に情熱を持ち、トラブル発生時に経営層と交渉できる人材を立てるべきだという。実際のツイート担当者としては「Twitterが大好きな社員」を前提にするべきだと斉藤氏は話す。Twitter上、ひいてはインターネット上でのコミュニケーション能力に長けた「デジタルネイティブな女性社員」などが適任であるという。

 担当者の決定後は、Twitterでどうユーザーに貢献するかを考えるべきだと斉藤氏は続ける。集客したい利用者の具体的な人物像(ペルソナ)――性別、年齢、居住、職業、職位、収入、趣味――を想定し、ペルソナに応じて相談サービスの提供や商品の改善アイデアの募集をするといった臨機応変な対応が必要になる。リプライに返答するか、フォロー返しをするかといった「対話・フォロー方針も決めておくといい」(斉藤氏)。

 企業Twitterでは、フォロワー数も成否を分ける条件となる。フォロワー数が多いほどリツイートなどの確率も高まり、情報が波及しやすくなるからだ。企業の担当者は、潜在的な顧客を能動的にフォローすることも必要になる。斉藤氏は「Twitterの検索機能や競合アカウントからユーザーを見つけるといった基本から始めるといい」と勧める。そして「自社を支持してくれるユーザー」には、Twitterによる情報伝達にとどまらず、電子メールやメーリングリストなどを使うことも検討に入れる。

 ユーザーへの働き掛けと同様に大切なのは、トラブルが発生した場合の被害を最小限に抑えることだ。「ツイートのモニタリング手段を検討するとともに、ツイートの事前承認をするかを決める。担当者向けには個人情報や機密情報をツイートしないといった運用をマニュアル化して伝える必要がある」と斉藤氏は話す。

 まとめると、企業のTwitter活用には「目的と効果測定指標」「ツイートの体制」「利用者への貢献」「フォロワーの獲得方法」「トラブル時の対応」を定めることが求められる。「Twitterで成功するには用意周到な準備が大切だ」と強調する斉藤氏の言葉は、企業Twitterを成功に導くポイントとも言い換えられる。


日本企業のTwitter活用実態や企業Twitterの注目すべき事例などをまとめた斉藤氏の講演はITmedia Virtual Expoで視聴できる。

ITmedia Virtual EXPO 2010 (9/7〜9/21)

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