エンタープライズセキュリティ市場を狙うSonicWall――CEOに戦略を聞く

米SonicWallは次世代ファイアウォールや高性能UTMなどの投入を計画している。日本市場での今後の戦略をマット・マデイロスCEOと、日本法人のマイク小池社長に聞いた。

» 2010年10月19日 08時10分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 「2010年7〜9月期は日本の売り上げの50%をエンタープライズ顧客が占めた。さらに拡大させたい」――米ネットワークセキュリティ企業SonicWallのCEO マット・マデイロス氏は、直近の国内市場における業績が好結果になったことを強調した。

米SonicWallのマット・マデイロスCEO(左)と日本法人のマイク小池社長

 同社は、2009年秋に大企業向けセキュリティ市場に本格参入すると表明した。それ以前は、中堅・中小企業向けのUTM(統合脅威管理)アプライアンスやSSL VPN製品を主力にしていた。大企業向け製品の展開ではマクニカネットワークスと提携し、同社が販売・サポートを提供していた。

 国内で大企業向けビジネスを展開するため、同社では品質向上や技術およびサポートの強化、パートナープログラムの拡充などを図った。例えば、米国本社には日本人スタッフが常駐し、国内ユーザーからの要望を製品開発に反映させる作業やサポートを担当した。パートナー企業向けのトレーニングメニューでは、動画コンテンツを4倍に増やした。

 「日本市場は新しい技術に対する受容性が高い。最新のセキュリティ技術をより良く利用してもらうために、こうした取り組みを継続している」とマデイロス氏。直近の好業績は、事業環境の整備と製品展開を同時に進めた結果であるという。

 今後は、新たに次世代ファイアウォールと高性能アプライアンスを投入する(関連記事はこちら)など、製品およびソリューションの拡大に注力していく。

 特にアプリケーションの制御を特徴とする次世代ファイアウォールは、ネットワークの適正な利用環境を実現する手段と注目されており、競合他社も相次いで製品を投入している。だがマデイロス氏は、UTMで培ったマルウェア対策を同時に提供することで、製品の差別化を図りたいという。

 「次世代ファイアウォールは、パケットの中身を詳細に解析できるかがポイントになる。当社のパケット解析技術は特許を取得しており、コンテンツの内容や利用者の特定、マルウェアの検知を行っても、トラフィックの遅延を可能な限り抑られる」(同氏)

 小池氏によれば、次世代ファイアウォールの製品化には国内のパートナーが深くかかわったという。パートナー企業の担当者が米国での開発作業に参加したほか、国内の検証施設で実証実験を行った。「きめ細かい日本からのニーズを取り入れた製品を世界各国でも展開する」(小池氏)

 製品面では、このほかに幾つかの取り組みを進める。その1つがWAN最適化技術と次世代ファイアウォールなどのセキュリティ技術の統合だ。セキュリティ対策でパケット解析を行う際、マルウェアの有無やコンテンツを詳細に検査しようとすると、トラフィックの遅延が増す。WAN最適化はネットワークでのコンテンツ配信を高速化する技術だが、両者を組み合わせることで「遅延のないセキュリティ対策」を実現できる見込みという。

 従来のセキュリティ技術に加え、ネットワーク環境の最適化を図るソリューションも展開していくことで、国内市場での同社シェアの拡大を狙うとマデイロス氏は語っている。

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