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» 2010年11月01日 08時15分 UPDATE

「ユニクロ」のグローバル展開を支えるG1システム

2020年に売上高5兆円を狙うファーストリテイリングは、経営基盤をグループで統一化する「G1プロジェクト」を推進する。そのうちITのインフラが「G1システム」である。NTTコミュニケーションズのカンファレンスでは、同社のG1システム構築の取り組みが紹介された。

[國谷武史,ITmedia]
frnttcom01.jpg ファーストリテイリング グループ執行役員 樋田真氏

 カジュアルブランド「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングは、2020年に売上高5兆円を目指す経営計画を打ち出している。同社は計画の実現に向けてグローバルで共通の経営基盤を構築する「G1プロジェクト」を推進しており、これを担うITインフラが「G1システム」である。NTTコミュニケーションズ主催のユーザーカンファレンスでは、ファーストリテイリング 業務システムおよび物流担当グループ執行役員の樋田真氏が、同社のグローバル戦略とG1システムの展開について紹介した。

従業員の「民族大移動」

 ファーストリテイリングの2010年8月期の通期連結売上高は、前年同期比18.9%増の約8148億円。アパレル小売企業の売上高ランキングでは世界第5位(2009年)だったが、「2010年は4位に浮上するだろう」(樋田氏)という。売上構成比に占めるユニクロブランドの割合は、国内が74.3%、海外が8.9%。英国や米国、中国、フランス、ロシア、アジアにユニクロの海外店舗を展開するほか、同社は欧米のアパレル企業の買収も積極的に行っている。

 グローバル展開のビジョンについて、樋田氏は「日本で認められた品質、サービスを世界に展開することを基本としており、“アジアでナンバー1”“欧米の大都市でナンバー1”“社会に貢献するビジネス”という3つの実現を目指している」と話す。従業員も経営視点での業務を遂行してもらう「全員経営」という考え方のもと、世界共通の経営基盤「ワンプラットフォーム」と店舗レベルできめ細かい運営を行う「マイクロマネージメント」を組み合わせた経営環境を目指しており、この仕組み作りが「G1プロジェクト」になる。

 G1プロジェクトでは、まず大規模な組織変更を行ったという。従来は持ち株会社であるファーストリテイリングの傘下に各ブランドを展開する事業会社があり、事業会社ごとに管理部門やIT部門などが存在した。現在ではこれらの部門をすべてファーストリテイリングに統合し、事業会社は商品の企画や開発などのコアの業務部門のみとする組織構成にした。IT部門では地域ごとに分かれていたレポートラインを日本に集約し、従業員の評価や投資の判断などを一元的に行う仕組みに改めている。

frnttcom02.jpg G1プロジェクトによる組織構成

 「将来的に日本人従業員の半分が世界で働き、日本の組織の半分は外国人従業員が活躍する構図にしていく。“民族大移動”といえる変革だ」(樋田氏)という。

事業リスクを分かち合う「パートナー」

 同社が経営計画を達成するには、毎年25%ペースの成長が求められる。G1システムの構築では、これを前提に事業規模や組織の拡大に柔軟に対応できることが要求された。具体的には、「グローバル共通のアプリケーション」「ユニバーサルアクセス/コラボレーション」「高信頼・高速・拡張性に優れたインフラ」「先進のIT活用とグローバルソーシング」が条件である。

 これらを実現する上で樋田氏が最も苦悩したというのが、先進のIT活用である。代表取締役会長兼社長の柳井正氏からも、「常に最先端のシステムで、従業員がシステムを利用するだけで業務スキルを高められるものであること」という要請があったという。

 「パッケージの導入でシステムを平準化することも検討したが、最終的に当社がしたいことをできる仕組みとしてクラウドサービスに決めた。ITや通信企業には“ベンダー”ではなく、当社と事業リスクを分かち合ってくれる“パートナー”としての関係をお願いしている」(樋田氏)

frnttcom03.jpg G1システムの開発方針

 ファーストリテイリングが求めるシステムやネットワークなどのITインフラは、世界的に見ても前例がほとんどなく、パッケージ製品では実現できないものだったという。「パートナー」企業にはファーストリテイリングの要件を基にしたシステムやサービスを開発・提供してもらう代わりに、同社がファーストユーザーとなることで、その検証や効果を実証していく関係である。

 G1システムの構築は2009年9月に開始され、今年3月に「リリース0.5」が稼働した。この段階では財務や人事給与などの管理業務システムとコミュニケーション系システム、ネットワーク基盤の整備が重点となり、「ほぼすべてを一から作り直した」(樋田氏)という。

 特に注目されるのが、コミュニケーション系システムだ。グローバルで共通の経営基盤を実現するには世界各地の社員が円滑にやりとりできるインフラが不可欠である。同社では、まずデータセンターを4拠点に集約した。さらにドメインやメール環境の統合を図ったほか、45台のテレビ会議システムと内線通話が可能な携帯電話として1200台のiPhoneを導入している

 同社は、こうした基幹業務システムやコミュニケーション系システムが稼働するインフラ面でのパートナーシップをNTTコミュニケーションズと結ぶ。その理由として樋田氏は、「当社のグローバル化は日本で評価されているモデルを世界で展開することであり、ICTにおいても“日本品質”にこだわる企業と一緒に活動していく」と話している。

frnttcom04.jpg グローバルなICT基盤の概要

 樋田氏よれば、今年9月にはG1システムの「リリース1.0」が稼働し、G1プロジェクトのIT基盤が本格的に運用されるようになった。それでもG1システムの構築は途上にあり、2011年以降も商品管理や販売系などのさまざまなシステムを刷新していく計画である。

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