知っておきたいレストランでのワイン注文松浦尚子のワイン&コミュニケーション

ビジネスにもプライベートにも役立つ! 本連載では、ワインに関する意外に知らなかった情報を、ボルドー大学公認ワインテイスター・松浦尚子が楽しく紹介します。

» 2012年06月01日 15時20分 公開
[松浦尚子,サンク・センス代表]

 レストランでの接待や大切なデートの場面で、分厚いワインリストを手渡され、背中に冷や汗をかいた経験がある方も少なくないのでは? これだけ世界中で広くつくられ、日々新しいワインが生まれる現在では、プロであってもすべてのワインを把握することは不可能です。

 では、どうしたらいいのでしょうか。

 一番スマートなのは、お店のワインサービス担当者(その職業名がソムリエ)とのコミュニケーションを重視することです。ソムリエを味方につけて会話を交わす中で、好みや料理、予算に合った良いワインを選んでもらえるようにしたいもの。その際に参考となる考え方をいくつか紹介します。

レストランでの注文の仕方

 注文する手順は、まず料理を選んだ後に、それに合わせてワインを決めていきます。ワインボトルは通常750ミリリットルですから、分量としては普通に飲める人ならば、2人で1本程度が目安。最近では、まず食前に一杯、ちょっとお洒落にスパークリングワインを飲み、一息ついてからボトルを注文する人も多くなりました。

 一方、あまりお酒を嗜まない人やアルコールが弱い女性には、スパークリングもしくは軽くフルーティーな白ワインを一杯だけ、食事の始めに勧めてはいかがでしょう。

 中でも、女性にはシャンパンが人気。勧められて気分を悪くする人はまずいないと思います。ちなみに、食事のスタートの一杯に、赤ワインは向きません。特に、普段からワインに親しんでいない人には、タンニンの苦さや渋みを感じる濃厚な赤ワインは好まれない傾向があります。

うまく注文するコツ

 価格で決めるよりも、コストパフォーマンスの良い、店の一押しワインを注文したいものです。ただし、味わいの好みはそれぞれ違いますから、幾つかのワインの説明を聞いた上で判断したいです。

 接待やデートなどの場合には、相手に注文するワインの価格を知られたくないことも多いでしょう。うまく注文するコツは、ワインリスト上で希望する価格帯のワインを指し示し、「これぐらいの(価格の)ワインで、先ほど注文した料理に合うお薦めのものを3つほど、説明してもらえますか」と聞いてみます。3つであれば、ワインの特徴を聞いた上で、ピンときたものを選ぶことができます。

 すべて自分でやろうと気負わず、ソムリエを引き込んでアドバイスをもらい、楽しみながら選んでみてください。ワインをきっかけに同席者とも会話が弾めば、より満足のいく、楽しいひと時になることと思います。

著者プロフィール

松浦尚子

(有)サンク・センス代表取締役社長

ボルドー国立大公認ワインテイスター

神戸大学教育学部卒。教育・出版会社ベネッセコーポレーションに勤めた後、フランスに渡り、世界の権威であるボルドー大学ワイン醸造学部が主宰する、日本人では数少ないワインテイスター専門家資格を取得。広島県の第3セクターのワイナリー設立にかかわり、米国・ボストンを本拠地とする投資会社に籍を置いて、日仏間で働く。通算5年間フランスに滞在した後、2002年秋に帰国。滞在中には、難関フランス文部省認定のフランス語資格試験DALFも全て取得する。帰国後、2003年4月に有限会社サンク・センスを設立し、代表取締役に就任。「フランス、ワイン、食」をテーマに、さまざまな切り口からこれまでにない発想でワインセミナー、イベントを中心にプロデュースを行う。2005年1月に立ち上げたサンク・センスワインCLUBには、ワインを軸に旅やグルメ、趣味など幅広い分野に関心を持つメンバーが集い、これまでにない質の高いコミュニティを形成している。また、フランス大使館主催事でのプレゼンターや六本木ヒルズクラブでのワイン講師、経営者を中心としたビジネスマン向けのワイン講演も数多くこなし、実績は多数。これまでに取り上げられた新聞、雑誌、ラジオ出演は数え切れない。富裕層向け雑誌や、大手都市銀行が運営するビジネス情報サイトなどでコラム連載も手掛け、多彩に活躍している。


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