クラウド&グローバル化で問われるネットワーク、通信事業者の取り組みとは?Maker's Voice

クラウド利用によるITの効率化や企業ビジネスのグローバル化に共通して注目したいのが、基盤となるネットワークサービスだ。通信事業者としての取り組みをNTTコミュニケーションズに聞いた。

» 2013年04月05日 08時30分 公開
[ITmedia]

 近年、企業ではITの効率的な利用を目的にクラウド活用が広まっている。また、持続的な成長を目指してグローバルビジネスを志向するようになった。「クラウド」と「グローバル化」の共通点として注目したいのが、ネットワークサービスだ。これを担う通信事業者の取り組みをNTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部の中岡玲氏に聞いた。

NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 販売促進部門 中岡玲氏

 調査会社のMM総研が2月に発表した「ビジネスクラウド総合評価調査」によると、NTTコミュニケーションズのクラウドサービス「Bizホスティング」が総合1位を獲得した。クラウドを含めて企業のIT基盤を構成するネットワークは、同社にとっていわば“本丸”であり、最も実力が問われる領域と言えよう。

 中岡氏によると企業は、「つながりやすさ」「信頼性(稼働率)」「アクセスのしやすさ」をネットワークサービスに求めてきた。クラウド化やグローバル化が進んでも基本的には同様だ。だたし、インターネットや企業向け閉域ネットワークを経由するクラウドは、ローカルネットワークと全く同じというわけにはいかない。グローバル化では特に、国内本社からの手が届きにくい海外拠点における通信環境が課題になる。

 「例えば、クラウドではネットワークサービスを考慮せずに利用し始めた途端、通信が途切れる、速度が遅いと悩むケースが少なくない。国内と海外との間では数十〜百ミリ秒にもなる遅延やスループットが課題になる。ユーザーがこれらを気にせず利用できるサービス提供に注力している」と中岡氏は話す。

 同社では2011年5月に提供を開始したVPNサービス「Arcstar Universal One」で、高信頼のサービス提供に努めているという。

 信頼性では例えば、一般的なサービスでは1つしか提供されないアクセス回線を同社では冗長化しており、主回線がダウンしても自動的にバックアップ回線に切り替わる。万一の障害でもユーザーが気にせずにサービスを継続できるようにしている。

NTTコミュニケーションズのグローバルネットワーク

 低遅延化やスループットの確保に向けた取り組みでは世界145カ所にデータセンターを設置しており、ユーザー企業の拠点からデータへの物理的な距離を短くしている。また、2012年には日本とアジア主要国(シンガポール、フィリピン、香港)を最短距離でつなぐ海底ケーブル「Asia Submarine-cable Express」を敷設。日本と北米を最短でつなぐ「PC-1」と合わせ、北米から日本を経由してアジア各国までの最短ルートを実現し、特に金融機関などの利用が多い。

 アクセス手段としては、固定や無線などさまざまに対応しているが、とりわけ海外拠点からの接続では159カ国でIP-VPNによる接続を可能にしている。こうした広大で堅牢なネットワーク基盤は、通信事業者ならではものだろう。

 ただ、ユーザーとしては単に通信手段を提供してもらうだけなく、万一の際のサポートも期待する。「特に海外の場合は、現地の通信事業者に対応を求めるのが難しいことも多い」といい、同社では日本語と英語で問い合わせに対応し、海外拠点でのトラブルでも窓口となって相談などを受けている。

Arcstar Universal Oneのサービス

 中岡氏は「IT環境の変化に応じて、ネットワークもクラウド接続環境の標準の提供やグローバルでのワンストップ保守などを取り入れてきた。クラウドを支えるものであり、これまで以上に信頼性向上への取り組みを続ける」と話している。

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