ハイブリッドクラウド化を加速? Windows AzureのIaaSが正式運用開始

Windows Azureのインフラストラクチャーサービスが正式に運用を開始した。既存の仮想サーバをそのままWindows Azureに移行できるほか、サイト間のVPN接続機能も提供され、企業はパブリッククラウドを柔軟に組み合わせることができるようになるという。

» 2013年04月17日 16時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本マイクロソフトは4月17日、「Microsoft Windows Azure」のインフラストラクチャーサービスを正式に運用開始したことを明らかにした。同社のパブリッククラウドはこれまで、Officeなどをサービスとして提供する「SaaS」やミドルウェアをサービスとして提供する「PaaS」に力が注がれてきたが、今回のIaaS正式提供に踏み切ったことでフルラインアップが整った。併せて利用料金の一部を値下げしており、プライスリーダーの座も目指すとしている。

日本マイクロソフトの加治佐俊一CTO

 都内の同社オフィスで行われた記者発表会で加治佐俊一CTOは、「新規サインアップは1日当たり1000顧客、Active Directoryサービスの認証リクエストも直近の90日で約650億回に上るなど、Windows Azureの勢いが増している。IaaSが正式に提供されたことで企業内で構築された仮想サーバをそのままクラウドに移行できるようになり、さらに拍車がかかるだろう」と話す。

 Windows AzureのIaaSで正式運用が始まったサービスは、「仮想マシン」と「仮想ネットワーク」の2つに分類できる。仮想マシンでは、OSとしてWindows Server 2008 R2やWindows Server 2012をサポートするだけでなく、各種のLinuxを選択することもできる。その仮想化技術はHyper-Vをベースとしており、オンプレミスのHyper-Vで動作している仮想マシンをそのままWindows Azureに移動して実行できる。また、仮想ネットワークのサービスでは、わずか30分程度でAzure上にVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)が構築でき、企業内のイントラネットとサイト間のセキュアな接続を実現できるという。

 「われわれのクラウドは、オープンソースを取り込みながら、マイクロソフト、パートナー、そしてオンプレミスのそれぞれの仮想化された資源をシームレスに組み合わせ、しかも一元的に管理できる」と加治佐氏は話す。

国内パートナー45社が企業のクラウド化を支援

 今回、Windows AzureのIaaSが正式に提供されることによって同社の企業顧客は、次のような利用シナリオを検討できるようになる。

  • 既存サーバのクラウド移行
  • ハイブリッドクラウドとシングルサインオンの実現
  • マイクロソフトサーバ製品のクラウド展開
  • テストおよび開発環境としてクラウドを活用

 こうしたWindows Azureの活用を支援すべく、IaaS正式運用開始に合わせ、国内45社のパートナー企業が仮想マシンおよび仮想ネットワークへの対応を表明している。

 SharePointやOffice 365の導入・活用支援に力を入れるソフトバンク・テクノロジーもその1社だ。この日、同社が発表した「SharePoint on Cloud」は、SharePoint Server 2013をクラウドで短期導入できるソリューション。SharePoint Onlineでは実現できない高度な機能を利用できるほか、他システムとの連携も容易に実現できるという。

 また、プライベートクラウドとパブリッククラウドを最適に組み合わせるハイブリッドクラウドの実現では、データセンター事業者が名乗りを上げている。

 「CLOUD CENTER for Windows」の名称で企業にWindows Serverのプライベートクラウド環境を提供しているビットアイルは、Windows Azureとの連携サービスを今年の夏から開始すると明らかにした。ビットアイルのプライベートクラウドとWindows Azureのパブリッククラウドをセキュアに接続、Microsoft System Center 2012によってシームレスに運用管理し、コストの最適化を図ることができるという。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)もまた、同社のオーダーメイド型クラウドサービス「IIJ GIO コンポーネントサービス」とWindows Azureのクラウド間相互接続に対応したことを明らかにしている。

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