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» 2013年10月10日 12時36分 UPDATE

ITpro EXPO 2013 レポート:次の時代を担うCIOとデータサイエンティスト、日本交通と大阪ガスの取り組み

ビジネスに貢献するIT部門やデータ分析が注目を集める。「日経情報ストラテジー」誌のCIOオブ・ザ・イヤーとデータサイエンティストオブ・ザ・イヤーに選出された2社がその取り組みを紹介した。

[國谷武史,ITmedia]
oftheyear01.jpg CIOオブ・ザ・イヤーの日本交通 野口勝己執行役員(左)とデータサイエンティストオブ・ザ・イヤーの大阪ガス ビジネスアナリスセンター 河本薫所長

 日経BP社主催の「ITpro EXPO 2013」は10月10日に開催2日目を迎え、「日経情報ストラテジー」誌が選出する「CIOオブ・ザ・イヤー」と「データサイエンティストオブ・ザ・イヤー」が発表された。CIOオブ・ザ・イヤーに日本交通の野口勝己執行役員、データサイエンティストオブ・ザ・イヤーには大阪ガス 情報通信部ビジネスアナリスセンターの河本薫所長が選ばれ、両氏がそれぞれの取り組みを紹介した。

 CIOオブ・ザ・イヤーは毎年、次世代のCIOにふさわしい活躍をした企業のCIOを選出。今年は日本交通が開発したスマホアプリ「日本交通タクシー配車」が同社の事業に大きく貢献したことが選定理由になった。一方、データサイエンティストオブ・ザ・イヤーは今年初めとなるもので、データ分析・活用による社内貢献で注目を集める大阪ガスが受賞した。

世界も相手に

 日本交通の日本交通タクシー配車アプリは2011年1月に最初のバージョンがリリースされた。野口氏によると、「最近普及してきたスマホで面白いことをしたい」という社長らによる起案をきっかけに、GPSを活用した宅配ピザサービスなどを参考にして、タクシーの配車アプリ開発を決定。同社子会社の日交データシステムズから開発担当者1人をアサインし、1台のMacと1冊のマニュアルだけを使って5カ月で開発したという。

 アプリのリリースから2年半が経過し、今年7月現在では全配車台数の15%にあたる2万9774台がアプリ経由からとなった。うち65%の利用者は同社の配車サービスを初めて利用した顧客で、新規顧客の獲得にこのアプリが大きく貢献している。アプリダウンロード数は9月末時点で約29万4000件に達している。

 同社ではアプリの全国展開も早期に決定している。2011年12月には「全国タクシー配車」アプリを開発し、全国のタクシー会社に参加を呼び掛けた。「当時でも既に1日あたり約100件の利用があり、自社開発による資産もあるので追加コストが少ない。参加企業の負担も小さく、業界に貢献できるだろうと開発を決めた」(野口氏)

 なお、全国タクシー配車アプリのリリース当初は利用予測が困難だったことから、クラウドのIaaSサービスを利用し、スモールスタートから徐々にスケールアップさせていった。全国タクシー配車アプリからのタクシー利用は全国の配車台数の1割を占める規模になり、アプリのダウンロード数も70万8000件以上に達した。参加企業は46都道府県の104グループの約2万台になっている。

 今後のアプリ展開について野口氏は、2020年の東京五輪を視野に入れる。「多言語対応が必須と考えており、まず英語版をiOS向けにリリースする」という。さらには、車両に搭載するドライブレコーダーやIP無線配車システム(タクシー無線ではなく携帯電話回線などを使う配車システム)も開発し、2014年2月に業界内の企業などへ販売していく計画だ。

 同社の受賞は、従来の社内向けIT業務という枠にとどまらない新たなIT部門の方向性を具現化した結果だ。

セクシーな職業ではありません(笑)

 ビッグデータなどの分析からビジネスへの知見を得る取り組みが多くの企業で注目される昨今、同誌ではその役を担うデータサイエンティストを「最もセクシーな職業」と評している。だが、大阪ガスの河本氏は、「Googleのような企業ではそうかもしれないが、当社の場合はとても地道で、泥臭くやっている」と語った。

 その理由は、データ分析による結果を経営層や業務部門などに提供して、情報として参考にはされても、実際の経営や現場業務ではなかなか利用されなかったことがあったからだという。河本氏はこの業務を10年近く担当してきたが、評価が高まってきたのはつい最近のことだそうだ。

 「振り返ると、分析担当者も自分たちの狭い世界に閉じこもり、分析課題を見つけては分析をするというだけだった。それではいけないと気づき、経営課題の中からデータ分析が必要な点を見出し、そこから得たものを意思決定など実際に使ってもらえるところまでを担うようになっていった」(河本氏)

 その一例が、メンテナンスでの携行品を最適化するというもので、過去の修理業務データや機器のデータ、利用データなどを利用し、「修理関連データ分析システム」を構築。機器に発生しがちな故障を予測し、それに応じたメンテナンス体制を実現することで、顧客対応に要する時間を大幅に短縮した。

 「データ分析よりもモデルを開発する方が大変だった。というのも、現場には豊富なノウハウがあり、経験や勘を生かして対応にあたる場合もある。今ではこの仕組みを評価してもらえ、全ての担当者に利用してもらえるところまで来られた」(河本氏)

 現在ビジネスアナリスセンターには9人が在籍し、社内や関連企業に対して年間に約100件の分析ソリューションを提供している。ビジネスアナリスセンターは独立採算制で、プロジェクトなどに応じて依頼部門から支払われる。

 最後に河本氏は、「日本は米国よりもビッグデータ活用が遅れているといわれるが、10年近くこの仕事をしていると、日本には現場力があり、勘や経験でも十分に仕事が回る環境だと感じる。米国を真似するより、いい部分だけを取り入れ、日本ならでは現場力を生かしたデータ分析・活用があっても良い」と語った。

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