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» 2014年03月27日 08時00分 UPDATE

顧客データ分析で取引の高コンバージョン率を目指す楽天証券

サイト訪問したユーザーが新規で口座開設してから取引に至るまでの流れをスムーズにして、コンバージョン率を高めようという取り組みを楽天証券は進めている。マーケティング担当者に話を聞いた。

[伏見学,ITmedia]

 安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」による株高などを受け、証券各社の業績が好調だ。ネット証券大手の楽天証券も2012年末ごろから収益を伸ばしており、2014年3月期上半期(2013年4月〜9月)には、半期過去最高となる121億3700万円の営業利益を上げた。

 その成長要因の1つが新規顧客の増加である。これまで同社で口座開設する顧客は40〜50代の投資経験者が中心だった。しかし、景気の高まりやNISA(少額投資非課税制度)のような新制度がスタートしたことで、投資初心者の30〜40代や主婦などが新たな顧客として台頭しつつあるのだという。その結果、2013年12月末時点で総口座数は160万件を超えた。

 ただし、いくら顧客数を増やしても、実際に彼らが株や投資信託などの取引を行わなければ、楽天証券の収益拡大にはつながらない。そこで同社が取り組んでいるのが、顧客が口座開設してから取引するまでを一気通貫でスムーズに行えるような仕組み作りである。具体的には、顧客がどのようにサイト内を遷移しているかを解析し、そこから導き出されたデータをサイトの機能やユーザーインタフェース(UI)などに反映させることで、コンバージョン率を高めようとするものである。

サイトへの流入経路を細かく分析

楽天証券 マーケティング本部副本部長 マーケティング部長の清野英介氏 楽天証券 マーケティング本部副本部長 マーケティング部長の清野英介氏

 楽天証券が主にマーケティングのために扱う顧客関連データは大きく2つに分かれる。1つは、顧客データベース(DB)に登録されているID会員のパーソナルデータや取引データ。もう1つは、1日あたり40〜50万ページビュー、30万ユニークユーザーを持つ同社Webサイトのトラフィックデータやアクセスデータなどだ。顧客DBは、本番システムとは別にマーケティング部門専用の「マーケティングDB」を2004年ごろから運用している。

 データの活用に関して、以前は商品ごとにデータを集計していたため、例えば、AというID会員が株とFX(外国為替証拠金取引)を行っていても、容易にAがどのような商品を取引しているかが特定できなかった。そこで現在では、顧客を中心にしたクロス分析を行うように変更している。「これにより顧客を基軸とした取引データの抽出が可能になった」と、楽天証券 マーケティング本部副本部長 マーケティング部長の清野英介氏は話す。

 Webサイトの解析については、サイトリニューアルを控えた2007年にアドビ システムズのWeb分析ソリューション「SiteCatalyst(現Reports & Analytics)」を導入。それ以前は、広告代理店のツールを使った基本的なアクセス解析しか行っていなかったという。同社 マーケティング部 兼 編成部の大江田正樹氏は「コンバージョン率を上げる施策を進める上でツールとしては不十分だった」と振り返る。

 SiteCatalystを導入したことで、まずはサイト訪問者の流入経路が細かく分析できるようになった。例えば、楽天市場や楽天銀行、楽天カードといったグループサイトから来ているかどうか、その中での比率はどのくらいか、既に口座を持っているかどうかなどが解析データから正確に把握可能となった。また、ログインしたID会員については、解析ツールによりその行動パターンを詳細に可視化した。その結果、効果的なA/Bテストを定期的に繰り返してコンバージョン率アップに向けた精度を高めることができるようになった。

 また、2012年にはコンバージョンレートをさらに向上させるために、より高度なデータ解析ソリューション「Discover(現Ad Hoc Analysis)」を採用。現在では、新規のサイト訪問から口座開設、実取引までのスムーズな導線を構築したことで、サイトからの途中離脱を以前と比べて大幅に抑制できているという。

顧客行動とトラフィックデータをつなげる

 今後データ活用をさらに強化していく上で同社が取り組もうとしているのが、顧客DBとWebサイト解析のシステム連携である。現状では、仮にID会員がサイトに訪れても、ログインしていなければ、それがDBに登録されている顧客だと特定できない。そこで現在は顧客セグメントをその都度設定し、手作業でデータを組み合わせて分析することで、ある程度の仮説に基づいて特定を図っているが、必要以上の時間や労力がかかり非効率であるという。

楽天証券 マーケティング本部 マーケティング部 兼 編成部の大江田正樹氏 楽天証券 マーケティング本部 マーケティング部 兼 編成部の大江田正樹氏

 顧客DBとWebサイト解析のシステムが連携し、顧客行動とログイン前のトラフィックデータをつなげることで、顧客が注文するまでにどういう経路を踏んで、どういった情報を見て、結果的に注文に至るかまでのデータを自動的に収集できるようになるという。また、注文後の行動も一気通貫で見ることができれば、顧客一人一人に対して適確な分析が可能になる。

「今やWeb、スマートフォン、アプリ、当社のダウンロード型トレーディングツール『マーケットスピード』など、楽天証券のサービスの利用チャネルが多様化しているが、現状のデータ解析においては、WebはWeb、スマホはスマホと分断されている。トラフィックデータが顧客の行動にひもづけできれば、彼らがチャネル横断でどのような使い方をしているかが把握できるようになるのだ」(清野氏)

 また、スマホからのアクセスが急増しており、全体の46%(2014年2月)がスマートデバイス(iPad、iPhone、Android)からのログインだという。現在、商品の発注をスマホで行うケースについて、現物株は3割、FXだと5割に上るという。この割合は今後ますます増えていくものと思われるため、クロスデバイスへの対応が急務であるとした。

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