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» 2014年07月15日 18時12分 UPDATE

SoftBank World 2014 レポート:人間とロボットの共存が日本を救う ソフトバンク・孫代表

長引く不況などに苦しむ日本。復活の道はあるのか。そうした問いに対する解決策として、孫正義氏が掲げる方程式が「生産性×労働人口=競争力」だ。

[伏見学,ITmedia]
ソフトバンクグループの孫正義代表 ソフトバンクグループの孫正義代表

 ソフトバンクは7月15日〜16日の日程で、法人向けプライベートイベント「SoftBank World 2014」を都内ホテルで開催している。今回で3年目となる同イベント初日のオープニング基調講演ではソフトバンクグループの孫正義代表が登壇。長らく低迷する日本の復活に向けた“秘策”を語った。孫氏は「ビッグデータ、そしてロボットが日本の競争力アップの鍵を握る」と繰り返し強調した。

 日本復活に向けて孫氏が考える方程式が、「生産性×労働人口=競争力」である。まず生産性に関しては、この20年間で経済成長において中国に追い抜かれ、今やGDP(国内総生産)が世界第3位となったほか、少子高齢化の問題も重なり、大きく低下している。こうした事態を打開するのが「情報武装」だという。

 その背景には、CPU(トランジスタ)、メモリ容量、通信速度の3つの要素が情報のビッグバンを加速度的に進化させているという状況がある。

 「2018年には300億個ある脳細胞(トランジスタ)数をCPUが超える。また、メモリ容量は2000年に携帯電話で200キロバイトだったのに対し、今やタブレット端末は128ギガバイトにまで増加した。さらに、今年6月にソフトバンクが東京・銀座で実証実験したモバイル通信速度は1Gbpsを超えた。このように無限大のチップ、メモリ、通信速度が利用できる時代となり、人々のライフスタイル、ワークスタイルが大きく変わるはずだ」(孫氏)

“三種の神器”が企業競争力を高める

 そうした中、ソフトバンクでは、全社員がスマートフォン、タブレット端末、クラウドを活用し、いち早く情報武装に取り組んできた。この結果、社員一人当たりの生産性が向上し、例えば、ソフトバンクテレコムの契約件数では2009年度から2014年度にかけて2.3倍に、獲得回線数は2.7倍となった。

 一方で、ほとんどの日本企業ではスマートフォン、タブレット端末、クラウドを導入していないという現状を孫氏は嘆く。このままではますます日本は競争力を失いかねないとする。「この“三種の神器”こそが情報ビッグバンにおける生産性アップの基礎的な鍵となる。その上でどう活用するかは企業それぞれだが、まずは使うことから始めるべきだ」と、孫氏は力を込める。

 もう1つ、ソフトバンクが積極的に推進しているのがビッグデータの活用だ。M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)といったキーワードが示すように、今後は人と人だけでなく、人とモノ、モノとモノの通信が増大し、2020年にはインターネット接続されるモノの数は500億個に達するという予測が出ている。ソフトバンクでは、モバイル通信の電波改善を図るべく500億レコードのデータを解析し、経営改革に生かしている。現在では、モバイルの機種別、時間別、場所別などピンポイントで接続率を把握できるようになったという。

ロボットで労働人口を1億人に

 次に、労働人口を増やすための施策とは何か。労働力に関して日本が抱える課題は、他国と比べて少ない人口と高い人件費であるのは言うまでもない。現在、日本の製造業の労働人口は1000万人弱で、従業員の平均月額賃金は25万円。一方で、例えば、中国は7000万人で月額賃金は7万円と、大きなアドバンテージになっている。「日本の多くの人々が仕方ないと諦めている。しかしこれも解決できる」と孫氏は意気込む。

基調講演のステージに登場したPepper 基調講演のステージに登場したPepper

 その解決策がロボットである。今までも製造業などでロボットは活用されてきたが、個別プログラムを遂行する「単純生産ロボット」だった。これからはクラウドAI(人工知能)で学習する「汎用型生産ロボット」が一般的になり、あらゆる用途で活躍するようになるというのが孫氏の見解だ。仮に労働の現場にこうしたロボットが3000台導入されれば、1台につき3人分と換算して、労働人口は1億人になる。また、ロボットを活用することによって、月額の賃金は1.7万円に抑えることができるという。

 こうした構想が現実的であるということを示す1つの例が、ソフトバンクが先月発表した感情認識できるパーソナルロボット「Pepper」である。「今や個人でも手軽にロボットが買える世の中になった。人間とロボットが共存し、ともに働く時代がやって来るのだ」と孫氏は声を弾ませた。

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