年間60万件の「顧客の声」を自動分析――フコク生命が挑む“ビッグデータ苦情対応”(1/3 ページ)

フコク生命は、顧客から寄せられる年間約60万件もの問い合わせ内容を自動分析するシステムを構築したという。その背景や狙いを聞いた。

» 2014年08月26日 08時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
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 顧客の声をとらえて業務に生かす――これはあらゆるビジネスの基本だが、データ分析ツールの進化によってその潮流は急加速している。今では多くの企業が顧客の声をこれまで以上に広く、深くとらえ、それらをビジネスで活用する方法を模索している。

 そんな中、顧客の声をより迅速/正確にキャッチするための取り組みを始めたのが富国生命保険(以下、フコク生命)だ。同社は年間60万件にもおよぶ「顧客の声」を分析して「苦情」を自動抽出し、きめ細やかに対応する仕組みを整えたという。

 1923年創業の生命保険会社である同社は、なぜこうしたシステム導入に至ったのか。導入したシステムの成果とは――。フコク生命でシステム導入のプランニング・調達を担当している齋藤賢(まさる)さん(事務企画部 主任調査役)に聞いた。

1日3000件の“声”を目視でチェック、苦情探しに21時間

 フコク生命が顧客から受け取る“声”は、コールセンターへの申し出や苦情、店舗スタッフとの応対内容など多岐にわたる。同社では2006年にこれらの声を一元管理するデータベースシステムを導入し、現場スタッフが入力した情報をもとに顧客対応を強化してきたという。

photo 齋藤さん

 一方、データベースに集約した声を活用する上では課題もあった。同社に寄せられる問い合わせは1日当たり約3000件、年間にして約60万件にもおよぶ。従来はそれらの声を約20人のスタッフが目視で確認し、苦情と思われるものを手作業で選別するために週当たり約21時間かかっていたという。

 「コールセンターでオペレーターがその場で苦情と判断したものはすぐに対応していますが、後から『あれは苦情だった』と気付くケースも少なくありません。こうした声の取りこぼしを防ぐため、従来は1つ1つ目視で問い合わせ内容をチェックしていましたが、その作業が大きな負担になっていました」と齋藤さんは振り返る。

 顧客からの苦情を見逃すわけにはいかないが、全ての問い合わせを人手でチェックするのは手間が大きすぎる――こうした課題に対し、同社が選んだのが高性能なテキストマイニングシステムの導入だった。

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