現場で効くデータ活用と業務カイゼン

「スター・ウォーズ」「トロン」を手掛けた日本のCGスタジオが“システム大刷新”に踏み切った理由有名CGアニメの舞台裏(3/4 ページ)

» 2014年09月29日 07時30分 公開
[本宮学,ITmedia]

 新システム導入の成果は実際の制作現場にも表れているようだ。「外部スタジオとの共同作業に伴う“タイムラグ”はかなり抑えられている。Pizmo 2.0の稼働後は、海外スタジオが昼過ぎに完成させた映像が夕方ぐらいに日本に届き、それをチェックして夜にレビューを戻す。それを海外スタジオで翌朝確認して再び作業する――といったサイクルが作れるようになった」と山森さんは話す。

 「従来なら、完成させたファイルをWeb上にアップロードしてから人手で外部スタジオに連絡し、受け取り側のスタジオはその連絡を確認したうえでファイルをダウンロードして……。どんなに早くても2日程度はかかっていた」と飯山さん。こうした生産スピードの向上が、全編CGであるTVアニメシリーズ『シドニアの騎士』の制作を裏で支えたという。

各種業務システムもFileMakerで構築

photo PCAの画面イメージ

 ポリゴン・ピクチュアズのカスタムデータベース活用法はPizmoだけにとどまらない。社内で利用する各種業務システムもFileMaker Proを使って構築しているという。その1つが「PCA」(People Cost Allocationer:「人件費配賦システム」)と呼ぶタスク管理ツールだ。

 「従来はアーティストの稼働状況を把握するために、Excelシートにどのプロジェクトに何時間くらい費やしたかを記入してもらって手動で集計していた。PCAではこれをおおむね自動化し、アーティストが作業中に毎時表示されるポップアップ画面上で記入した工数を、FileMakerのデータベースに自動で集約・集計できるようにした」(山森さん)

photo 稟議承認システム画面

 同社はこのほか、業務委託契約している100人以上のアーティストへの発注/請求システムや、新規で制作プロジェクトを立ち上げる際などの稟議承認システムもFileMakerで構築したという。特に、発注/請求作業はそれまでExcelシートで行っていたため「大幅な省力化につながっている」と飯山さんは話す。

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