日本IBMがニューマシン、ビッグデータ分析のボトルネックを改善

Netezzaで知られたデータ分析アプライアンス「PureData System for Analytics」の新モデルを発表した。ハードウェアの強化で、分析にかかる時間を大幅に短縮させるという。

» 2014年10月24日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
PureData System

 日本IBMは10月23日、データ分析向けアプライアンス製品「PureData System for Analytics」の新モデルとなる「N3001」を発表した。ハードウェアの刷新でビッグデータ分析に要する時間を大幅に短縮させることができるという。また、エントリーモデルも新たに追加した。

 PureData Systemは、高速データウェアハウス(DWH)アプライアンスのNetezzaの流れを汲む大容量データ分析の専用マシン。N3001ではFPGA(Field-Programmable Gate Array)などによってハードウェア性能を大幅に引き上げた。同社がユーザー企業と行った「Kmeansモデリング」による実証では従来は処理に16時間を要したパターンが3分12秒に短縮されたとのこと。また、従来環境では実用できなかったという別の検証パターンは、PureDataでは32分37秒で可能になったという。

 この他に、パフォーマンスへ影響を与えないというハードウェアベースのデータの暗号化が可能になり、シングルサインオンなどにおけるKerberos認証もサポートした。

 新たに追加したエントリーモデルは「N3001-001」。16テラバイトまでのデータ容量に対応しており、定価を2400万円に設定している。上位モデルにおけるFPGAの処理をソフトウェアベースにすることで製品価格を抑えたが、機能面やサポート、保守などは上位モデルとほぼ同じだという。

 同社のソフトウェア事業本部 理事 インフォメーションマネジメント事業部長の望月敬介氏によると、IBMが世界15カ国で実施している企業でのビッグデータ分析に関する調査からは、ビッグデータ分析へ取り組み始めた時期の違いに関わらず、高度な分析を実施したいというニーズにほとんど差がみられなかった。なお、実践する能力への自信度合いは先駆的な企業では89%、後発企業では40%。今後2年間で10%以上投資を増やすというのは先駆的な企業では60%、後発企業では29%というように、差が開いている。

 調査結果を踏まえると、取り組み状況に関わらず高度な分析へのニーズは一様に高い。しかし、現状のデータ分析の環境は、データベースと分析システム間のデータの転送や処理がボトルネックになっており、「バッチで処理するか、サンプリングデータで分析するしかなく、全件データを使った本当の意味での高度な分析ができない」(BigData & DM製品営業部統括部長の森英人氏)という課題を抱えていた。

大容量のビッグデータの分析ではトランザクション処理が大きなボトルネックになっていた

 森氏は、今回の新モデルはハードウェアの強化などを通じてボトルネックを解消させ、同時にビッグデータ分析のための高い導入コストも改善させると説明している。また、望月氏も「ビッグデータ分析を事業拡大の戦略的投資に位置付ける企業がほとんど。そのための課題を解決する」と強調する。

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