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» 2015年01月29日 08時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第1回 “レアキャラ”? 一見謎の人「プリセールス」

営業のような名前ながら最新技術や事例に詳しく、タダ(?)で相談に乗ってくれる「プリセールス」という職種がある。仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリストの小川大地氏が、なかなか姿を見せない“レアキャラ”の実態、そして日本のITインフラの「ここが変!?」な部分をさっくりと説明していく。

[小川大地(日本HP),ITmedia]

 私は会社認定の「テクノロジーエバンジェリスト」であるとともに、普段は仮想化やデータセンター統合基盤といった業種を問わないITインフラに対して、メーカー部門の現役プリセールスSEとして導入提案や設計支援を担当しています。過去には日本のITメーカーにも勤めていました。

 現在所属しているグローバル企業では、海外の同僚が担当した導入事例が多く耳に入ってきます。しかしながら、独自のIT文化を持つ日本企業にこれらの「ベストプラクティス」をそのまま展開するのはなかなか難しい事情もあり、日本の文化に合った展開が必要です。本連載では、ITインフラに関する欧米とのギャップや改善の糸口を自身の経験から探っていきたいと思います。

プリセールスとは、何をする人なのでしょう

photo 「プリセールス」という、一見謎のエンジニアはご存じでしょうか

 日本のITインフラの特徴は、言わずもがな請負主体のシステムインテグレーション(SI)でしょう。第1回は「ここが変だよ」とまではいきませんが、自身の仕事紹介も兼ねて、日本国内でITインフラの実提案を行う外資系ベンダーの組織体制についてご紹介したいと思います。

 外資系ベンダーの担当者と名刺交換をすると「プリセールス」と名乗るSEに出会います。SE職でありながら実際の構築や実装作業は行わず、提案フェーズにしか登場しない一見謎のエンジニアです。

 プリセールスの言葉の由来は「販売」(セールス)する「前の」(プリ)から来ています。ある程度方向性の決まったシステムについて最適な製品やソリューションなどのノウハウ提供を行ったり、RFP(ITシステムの調達に先だってベンダーにシステム提案を要求すること)といった提案依頼に対して、お客様に採用いただくためのシステム設計や提案、プレゼンを行うのが主な職務です。

 「提案したのなら、責任を持って最後まで構築すべきでは?」と思われる方もいるでしょう。

 仰る通りなのですが、実際問題、それだと「最新技術での設計」や「優れた提案」が難しくなります。構築プロジェクトに入ってしまうと半年や1年、大規模案件では数年間もそのプロジェクトに常駐、付きっきりですので、新しい製品や技術、方法論を学ぶ時間が取れなくなることになります。IT研修では5日間コースなどがよくありますが、もしあなたが顧客担当者なら「研修に行く余裕があるなら、うちの構築を早く終わらせてよ」と思いますよね?

 プリセールスSEは構築プロジェクトに参加しない分、非常に多くの設計・提案を経験します。先進技術の早期習得も重要な業務です。外資系のITベンダー、特にインフラ系やパッケージベンダーは、

  1. 発注前後で担当組織を分けて
  2. 発注前は「設計・提案専門チーム」が先進技術で提案して
  3. 発注後は「構築・プロジェクト管理専門チーム」がスケジュールを遵守した構築

 と専業体制を敷いています(もちろん、引き継ぎはきちんと行われます)。こういった部分最適な考え方はいかにも欧米らしいところです。

 また、日本と比べると欧米では納品された機器の構築・実装は顧客自身が実施するのが大半であるのも、発注が大きな区切りとなる理由の1つと言えるでしょう。欧米ではプリセールスSEのことを「Solution Architect」、構築担当SEのことを「Delivery Engineer」と呼んだりもします。

photo (参考)システム導入まで各フェーズ(ITインフラ分野の場合)

 では、プリセールスと「コンサルタント」はどう違うのでしょうか?

 次回はこの二者の違いを私なりに解説してみたいと思います。

小川大地(おがわ・だいち)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを3年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション



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