ExcelとGoogleドキュメントの顧客管理はもう限界、でも基幹システム導入の手間もコストもかけられない――。そんな課題を抱えたスタートアップは、なぜ、1カ月半で“脱Excel”の基幹アプリを開発できたのか。
「住まい・暮らしに関する、魅力的なアイデアが集まる場」――。LIMIAはそんなコンセプトから生まれたサービスだ。サイトには建築家や住宅コンサルタント、インテリアデザイナー、収納コンサルタントなど、80職種を超える住まいの専門家が登録され、LIMIAはそれを必要とする人との間をWebを通じて取り持っている。
親会社は、日本のモバイルソーシャルゲーム業界をけん引してきたグリー。同社は新たな事業の柱として“住まい”に関する領域への取り組みを強化しており、LIMIAはその流れから生まれた期待のサービスなのだ。
PDCAを回しながらサービスをブラッシュアップし、一日も早い利益貢献を目指すリミアがある日、直面することになったのが、システム面の課題だった。
リミアの課題はExcelとGoogleドキュメントを使った“顧客管理システムの破綻”というもの。できるだけコストをかけず、普段使っているツールで賄おうとしていたところに無理が生じたという。
その背景にあるのは、グリーの新規ビジネス立ち上げに関するシビアな方針だ。新サービスの立ち上げは、まず最低限のメンバーでスタートし、うまく回っていく見込みが立ったところで人材を追加する。その後、事業として成立するようであれば子会社化するが、見込みがなければ撤退することになる。
「事業計画の承認を経てから、約3カ月でサービスのローンチを目指すという状況でしたので、エンジニアリングもマーケティングも、スピーディで効率的な業務の遂行が求められました」――。リミアのマーケティング部でシニアマネージャーを務める安野智裕氏は、そのシビアさについてこう話す。
このような環境下では、業務システムに多大なコストをかけられず、リミアも情報サイトを運営していくためのあらゆるシステム構築を現場スタッフが自力で行う必要があった。
システムが破綻をきたした営業・マーケティング部門も、取引先にアプローチするための“アタックリスト”を自前で構築していた。Excelのワークシートを使って顧客データベースを用意し、そこで商談管理や与信管理を実施。部門内の情報共有は、Googleドキュメントを利用していたという。
所属メンバーも取引先も少数だった立ち上げ当初こそ、うまくいっていたが、取り扱う情報はあっという間に1万レコードを突破。ExcelとGoogleドキュメントによる情報管理は、すぐに破綻したという。
「ExcelやGoogleドキュメントでは、情報の検索やソートに非常に時間がかかり、一刻も早く改善する必要がありました。また、入力内容が担当者によってまちまちで、業務が属人的になっていたことも大きな問題でした」(安野氏)
リミアの営業・マーケティング部門にとっては、このアタックリストこそが業務に不可欠な基幹システムである。そのため、まずはExcelとGoogleドキュメントによる情報管理を一新することが急務だった。
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