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» 2019年11月28日 08時20分 公開

「サブスクの次」を見据えて:4年で4倍の値上げが「当たり前」 クラウドサインの見る未来 (1/2)

日本に根強く残る、印鑑文化。クラウドサイン事業部長の橘氏は「誰もがおかしいと思っていたことは、誰かが変えていく」として、ハンコ文化からのデジタルトランスフォーメーションと、10年後の日本について語った。

[柴佑佳,ITmedia]

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 「さらば、ハンコ」というキーフレーズでテレビCMを始めた、電子契約サービス「クラウドサイン」。同サービスの開発者は、印鑑文化に深く通じた弁護士だった。

 「印鑑と紙で契約する」という、多くの人が感じる不便に向き合っていった先に、どのような未来が見えるのだろうか。サービス開発のいきさつとサブスクリプションによるビジネスの変化、今後のビジネスについて語った。

印鑑文化の歴史と弊害、クラウドサインの目指すもの

橘氏 弁護士ドットコム取締役 クラウドサイン事業部長 橘 大地氏

 クラウドサインを提供する弁護士ドットコムは、一般市民と弁護士のマッチング事業を運営している。同社取締役でクラウドサイン事業部長を務める橘 大地氏は「2014年に上場をした際、多くの企業が法務活動に共通の課題を抱えていることに気付きました」と語った。

 橘氏が注目したのは、印鑑による契約締結の文化だった。世界はもともとがサイン文化であったことを背景に、署名の電子化が進んでいる。「欧米はもちろん、『漢委奴国王印』で日本に印鑑文化を伝えた中国もサイン文化に移行して、現在は米国を超える電子契約大国です」(橘氏)

 日本の歴史の中でも「偽造しやすい」「第三者による押印が可能」といった印鑑特有の脆弱(ぜいじゃく)性は問題視されており、廃止の議論はあったのだという。しかし、問題になったのが識字率だった。「明治政府が本人認証の方法を議論していた頃、日本人の識字率は50%を切っていました。自分の名前を書いたり、人の署名を読んだりできる人が少なかったため、『ぽん』と押せば済む印鑑が採用されたそうです」(橘氏)。

 その後、日本人の識字率は大幅に向上したが、印鑑と紙を用いた取引は続いている。印鑑の脆弱性による問題も続いており、企業の法務活動の課題になっている。橘氏は「印鑑は、企業にも個人にも身近なものです。『印鑑文化の電子化』は、日本全体に関係する国民的なサービスになると考え、クラウドサインを開発しました」と当時を振り返った。

 かといって、橘氏は印鑑の排除を目指しているわけではないという。「10代の方や外国籍の方が『印鑑を持っていない』という理由で賃貸契約できないのは、おかしいでしょう。それならスマホでの締結も議論されるべきです。しかし、高齢の方やスマホを持っていない方なら、印鑑で契約できるほうが良いでしょう」(橘氏)として、どちらも使える世界の重要性を述べた。

値上げ幅、4年で4倍! アップセル成功の秘訣とは

 クラウドサインは、電子契約の締結を支援するサブスクリプションサービスだ。現在は経済産業省と国土交通省から適法性を認められ、金融機関や法律事務所でも導入されている。

 クラウドサインは2015年10月にサービスを初めてからユーザーが拡大するのに合わせてサービスレベルを向上させた。サービスレベルの向上とともに提供価格を上げ、2019年9月までの4年間で、4倍ものアップセルを実現している。

2015年 サービス開始時の価格
2019年 2019年9月時点、ビジネスプランの価格は4倍、フリープランの自由度は6分の1
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