顧客を待たせないコールセンター、東京スター銀行のシステム担当者がこだわる仕組み(2/2 ページ)

» 2016年08月16日 08時00分 公開
[國谷武史ITmedia]
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リアルタイムに担当者を割り当て

 新しいコールセンターシステムは、日本アバイアのコンタクトセンター向けソリューションをベースに構築した。

 顧客からの入電を受けてIVR(音声自動応答)/CTI(Computer Telephony Integration)システムが電話番号などからCRMのデータベースを参照して顧客情報を取得する。同行では融資相談やオンラインバンキングの質問といった主な用件ごとにフリーダイヤルを用意しており、顧客がかけてきた番号や顧客情報、履歴情報などから顧客の実際の用件を瞬時に予測して、最適な担当者へ自動的につなげる仕組みだ。

リニューアルしたコールセンターシステムの構成

 例えば、以前に口座開設のやり取りした顧客が新規の融資を相談してきた場合は、システムが前回対応したオペレーターに接続する。以前と同じ担当者が対応することで顧客に安心感を提供でき、担当者も詳細な履歴を確認しながら円滑な対応できるようになる。顧客によっては、システムがコールセンターのスタッフではなく営業店の担当者に接続させるようにもしている。

 顧客の用件を予測して最適な担当者へ接続を瞬時に判断する仕組みは、リニューアルプロジェクトのマネージャーでコールセンターの現場を担当する犬山史氏(個人金融部門個人企画部ヴァイスプレジデント 個人システム企画)がこだわったポイントだ。

東京スター個人金融部門個人企画部ヴァイスプレジデント 個人システム企画の犬山史氏

 「例えば、オンラインバンキングのアカウントがロックされたお客様は対応を急ぐ必要がありますので、IVRでの操作を待つことなく瞬時に担当者へつながなければなりません。システムが接続先を判断するロジックを15パターンほど用意し、現在はこれを随時チューニングしながら、より高い精度で最適な担当者へ接続できるようにしています」(犬山氏)

 リニューアルにおけるCRMデータベース側の作業では、用件の予測や接続判断を瞬時に処理するために、顧客情報にさまざまフラグを付与している。レスポンスの目標時間を1秒以内に設定し、データベースのチューニングにも多くのリソースを費やしたという。

コールセンター担当者の画面にはこれまでの履歴や顧客情報が瞬時に表示される

 新しいコールセンターシステムは、本格稼働から大きなトラブルに直面することなく安定運用を続けている。顧客満足度の変化をいった定量的な評価はこれからだが、犬山氏によれば、顧客からの問い合わせ状況をリアルタイムに把握できるようになったことにより、人員配分の最適化など顧客対応業務の効率化といった面では既に成果が出始めているとのことだ。

 東京スター銀行では今後もオムニチャネル化を推進していく計画。前田氏は、「顧客接点は電話やWebサイトだけでなくSNSやチャットなどさまざまあり、まずは数年のうちに当社が目指すオムニチャネルの姿を完成させたいですね」と語る。

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