GoogleはAWSやMicrosoftを追撃できるのかWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2017年06月19日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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Googleにとってこの1〜2年が正念場に

 では、そんなGCPのIaaS市場での競争力はどうなのか。最新状況を調べようとしていたところ、タイミングよく米Gartnerが6月15日に「IaaS市場を対象にしたマジック・クアドラント2017年版」(図3)を発表した。

Photo 図3 米Gartnerの「IaaS市場を対象にしたマジック・クアドラント2017年版」(出典:Gartnerの資料)

 ちなみに、「2016年版」およびマジック・クアドラントの見方については、2016年8月15日掲載の本コラム「クラウドサービス市場の覇者は? 最新勢力図を検証する」で解説しているので参照していただきたい。

 GCPの競争力はどうかというと、AWSとMicrosoftが「リーダー」として先行しており、Googleはまだリーダーの域に入れず、「ビジョナリー」として3位にとどまっている。興味深いのはこの状況が2015年から3年間、大きく変わっていないことだ。

 加えてもう1つ、ガートナージャパンがこの5月に公表した「日本におけるクラウドIaaSのマジック・クアドラント2017年版」(図4)を紹介しておこう。この図は、2017年5月8日掲載の本コラム「“クラウド後進国、日本”は、変われるか ガートナーの見方は」で初公開されたものだが、この中にGoogleの名前はない。おそらく評価する材料が乏しかったからだと推察されるが、これまで日本においてはGCPの印象がいまひとつだったこともあるだろう。

Photo ガートナージャパンの「日本におけるクラウドIaaSのマジック・クアドラント2017年版」(出典:ガートナージャパンの資料)

 では、Googleはクラウド(IaaS)でAWSやMicrosoftを追撃できるのか。実は、この質問については、2016年のイベント中に開かれた記者会見で尋ね、グリーン氏から「後れを取っているとは思っていない。企業にクラウドが本格的に普及するのはこれからだ」との回答を得た。その際の同氏の詳細な見解については、2016年6月20日掲載の本コラム「なぜ今、“AIファースト”なのか Google、AIクラウドに本腰」を参照いただきたい。

 そこで、今回のイベント中に開かれた記者会見では、「追撃できるのか」との意図を踏まえつつ、「Googleはエンタープライズ事業をもっと強化する必要があるのではないか」と、あえてシンプルに聞いてみた。「AWSやMicrosoftに比べて、企業向け事業への力の入れようがまだまだ足りないのではないか」――という意図を込めた質問である。これに対し、グリーン氏は次のように答えた。

 「今の質問は、Googleはエンタープライズ事業の経験が乏しいとのご指摘と受け止めたうえでお答えすると、まずその通りという面では、今、企業向け事業の全てにおいて強化を図っている。一方で、Googleがこれまで培ってきた技術やサービス、そしてそれらの品質の高さや信頼性、セキュリティなどは競合他社にないエンタープライズグレードなものだと自負している。クラウドにおける勝負はまだまだこれから。Googleの優れたリソースがエンタープライズに傾注するようになれば、多くのユーザー企業に大きな貢献ができると確信している」

 伝わってきたのは、Googleのポテンシャルに対するみなぎる自信である。今回のイベントを通じて、Googleが企業向けクラウド事業に本当に本腰を入れてきた感がある。今後、パブリッククラウドのIaaS市場が“2強”になるのか“三つどもえ”になるのか、Googleにとってはこの1〜2年が正念場になりそうだ。

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