IoTデータ分析に機械学習の自動化ツール、大阪ガスが導入を「即決」した理由とは?故障検知予測やマーケティングに(1/2 ページ)

機械学習を用いた予測モデルの作成を自動化する「DataRobot」。日本では、大阪ガスが早くから導入して成果を上げてきた。ビジネスアナリシスセンター長の河本さんは、製品の存在を知ったときに、導入を即決したという。その理由はどこにあるのか?

» 2018年03月15日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 ガス機器とスマートフォンを接続、連携させる。エネルギー業界大手の大阪ガスは、2014年からIoTの視点を取り入れたサービスを展開している。最近では、2017年4月に燃料電池の「エネファーム」をネットワーク接続に対応させたほか、2017年10月には、ガス給湯器の「エコジョーズ」もネットワーク接続が可能となった。

 ガス機器の“IoT化”により、故障予防を目的としたガス機器の遠隔監視をはじめ、長時間入浴やヒートショックを防ぐことを目的とした「入浴見守り機能」や、入浴によって体脂肪率を計算する「ヘルスケア機能」といった、新たなサービスも次々とスタートしている。

photo 大阪ガスでは、燃料電池の「エネファーム」やガス給湯器の「エコジョーズ」をネットワーク対応させ、新たなサービスなどを展開している
photophoto 浴室内に設置されたセンサーを使い、長時間入浴やヒートショックを防ぐ「入力見守り機能」(左)と、入浴によって体脂肪率を計算する「ヘルスケア機能」(右)

 同社は、ガス機器などから収集したデータを解析する部署「ビジネスアナリシスセンター」を持ち、ビジネスに貢献するデータ分析を古くから進めてきたことで有名だ。Tableauなど数々のツールも導入している同社が今、注目しているのは、機械学習ソフトウェア/サービスの「DataRobot」だ。

 「2016年の夏に製品を知り、導入を即決。10月には本稼働が始まっていました」。こう話すのは、ビジネスアナリシスセンター長を務める河本薫さんだ。ユーティリティーの導入事例としては、世界初となった大阪ガス。即決の決め手はどこにあったのだろうか。

機械学習のモデル作成を自動化する「DataRobot」

photo 大阪ガス 情報通信部 ビジネスアナリシスセンター長の河本薫さん。3月に行われたDataRobotの発表会で講演を行った

 DataRobotは、機械学習を用いた予測モデルの作成を自動化するソフトウェアだ。クラウドで提供するほか、オンプレミス環境で運用できるようパッケージ版も用意する。

 ディープラーニングを含む、1000以上の機械学習アルゴリズムやデータ分析手法を実装しており、データを投入すると、その中から適した手法を選び、順次適用していく。精度が高い順に予測モデルが並ぶため、ユーザーは最適だと考えるモデルを選ぶだけで済む。アルゴリズムの選択やプログラミング、モデルのチューニングといった作業は必要ない。

 河本さんはDataRobotをユーザー心理のカベを超えたツールだと評価する。「マニュアルがなくても利用できるとうたう製品は多いが、大半は、実際に使ってみるとそうではないことが分かる。DataRobotはユーザーインタフェースが優れているうえ、ボタン1つで実行でき、コーティングなどの手間もないので非常に使いやすい一方で、さまざまな予測モデルを作れるため、予測精度を究極まで高められる」という。

photo DataRobotでは、各種の分析手法を実行しながら、結果を順次順位表として示す。メイン画面では、予測モデル作成の方法を示している

 そして、何より河本さんが注目したのは、予測モデルにどの特徴量(変数)が影響しているかをグラフで表してくれる機能だ。これによって、現場の理解を得るのがぐっと楽になったという。

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