下の図は、縦軸が「自己評価」の高さを示し、横軸は仕事の適性幅を示すグラフです。横軸は右側がジェネラリスト傾向を示し、左側はスペシャリスト傾向を示します。一般的に、ベテランの管理職はジェネラリスト傾向、若手の技術者はスペシャリスト傾向を示します。
以下で示すように、日本と中国には共通する特徴があります。スペシャリストほど自己評価は低く、ジェネラリストほどは自己評価が高いというものです。その分布は、傾いた葉っぱの形に似ています。
日本と中国のグラフを見比べると、中国人の方が少し上側に寄っていることが分かります。これは、中国人の方が仕事の適性に関係なく自己評価が高いことを示します。ただし、左右のブレは確認できませんでした。いまのところ、必ずしも日本人のスペシャリスト傾向(職人かたぎ)が強いというわけではなさそうです。
A社の適性検査では、個人特性分析の結果を「人間の顔の表情」で表す工夫をしています。例えば、まゆが太いほど強い指導性を示す、まゆの「ハ」の傾きは従順性を示す、といった具合です。
まゆの太さ | 指導性 |
---|---|
まゆの傾き | 従順性 |
瞳の直径 | 達成意欲 |
目の傾き | 達成意欲+求知欲求 |
鼻の高さ | 顕示欲求(プライドの高さ) |
口の形状 | 親和欲求+協調性 |
顔の輪郭 | …… |
分析結果がイラストで表示されるので、詳細な説明を読む手間が省け、忙しい人事部からは大好評であるといいます。
毎年、大量のアルバイトを採用するある日本企業では、全応募者と長い時間を掛けて面接をするわけにはいかないので、適性検査を採用面接の「足切り」の道具として利用しているようです。この会社では、アルバイト希望者に適性検査を受けてもらい、個人特性分析イラストの「瞳の大きさ」と「口の形状」だけで足切りするかどうかを判断します。判断材料は以下のとおりです。
・瞳が大きい=達成意欲が強く、責任を持って最後まで仕事を成し遂げる
・口を大きく開いている=人が好き、協調性がある、サービス精神おう盛
つまり、この2つの条件を満たした者だけがアルバイトとして働く資格を得るというのです。
もし、あなたの手元に精度の高い適性検査ツールがあったとしたら、どのような基準でこのツールを活用するでしょうか。中国オフショア開発に向いている人材評価(日本人、中国人)、駐在員の人選、人材育成プランの策定など。可能性を思い付く限り挙げてみるとよいでしょう。
幸地 司(こうち つかさ)
アイコーチ有限会社 代表取締役
沖縄生まれ。
九州大学大学院修了。株式会社リコーで画像技術の研究開発に従事、中国系ベンチャー企業のコンサルティング部門マネージャ職を経て、2003年にアイコーチ有限会社を設立。日本唯一の中国オフショア開発専門コンサルタントとして、ベンダや顧客企業の戦略策定段階から中国プロジェクトに参画。技術力に裏付けられた実践指導もさることながら、言葉や文化の違いを吸収してプロジェクト全体を最適化する調整手腕にも定評あり。日刊メールマガジン「中国ビジネス入門 〜失敗しない対中交渉〜」や社長ブログの執筆を手掛ける傍ら、首都圏を中心にセミナー活動をこなす。
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