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ロボットのネット対応機能を共通化〜ロボットサービスイニシアチブ(RSi)設立第2回ロボデックスフォーラム

» 2004年03月24日 23時59分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ソニー、富士通、三菱重工業の3社は、家庭向けパーソナルロボットが持つネットワーク対応機能の相互運用性を高め、ロボットサービスの早期普及を目指す業界団体「ロボットサービスイニシアチブ」(RSi)を5月に設立する。3月24日に東京・有楽町で行われた「第2回ロボデックスフォーラム」で明らかにした。

photo ロボット揃い踏みの図。

 ロボットサービスとは、「ネットワークを介してロボットが提供する情報サービス、もしくは物理的サービス」のこと。たとえば、三菱重工業の「wakamaru」には、オーナーにスケジュールを知らせる際、ネット上の乗り換え検索サービスで最寄り駅の時刻表を調べてくれる機能がある。富士通/PFUの「MARON-1」は、外部から携帯電話を使って移動を指示したり、赤外線リモコンで家電を操作する機能を持つ。

 こうした機能を共通基盤の上で実現し、多くの家庭用・業務用ロボットが使えるようにするのがRSiの設立主旨。単一のサービスが多くのロボットに提供できるため、ネットワークサービスプロバイダーが参入しやすい環境を作ることにも繋がる。「いわば、“ロボットに共通のブラウザを載せよう”という取り組みだ。基盤がしっかりできれば、後はアイデア次第。ただ、ロボットではデモンストレーションに力を入れ、PCのブラウザとはひと味違うことを示していきたい」(三菱重工)。

 技術面では、既にある技術を積極的に取り入れていく方針だ。ロボットの動作は、エンタテイメントロボットフォーラム(ERF)が策定した「RoboLink」プロトコルを拡張し、SOAP(Simple Object Access Protocol)通信と組み合わせる。また、ネットワーク対応AV機器などと連携するため「DHWG」(Digital Home Working Group)準拠のプロトコルを採用するという。

 イメージデモンストレーションでは、まず1台のパソコンから各ロボットに「移動」や「写真撮影」を命令し、共通のコマンドで遠隔操作できることを示した。また、「AVエージェント」のデモでは、ユーザーに「何か面白いテレビはないの?」と訊ねられたQRIOが、「テレビ王国」の“番組推薦サーバ”に問い合わせ、ユーザーの好みに合った番組を案内。さらに、ネット対応AV機器を操作して録画予約を行ってみせた。

photo 共通コマンドで遠隔操作。QRIOとAIBOが歩く
photo AVエージェントサービスのデモ。QRIOに「何か面白いテレビはないの?」と訊ねると、「ちょっと“テレビ王国”でさがしてみるよ。お勧めは〜」
photo 「でも、本当に面白いかどうかは、見てみないとわからないけどね〜」(QRIO)。
photo こちらはwakamaruのコンシェルジュサービスのデモ。「今度の連休に行ける温泉を調べて」とお願いすると「今から調べますので、しばらくお待ちください」。このとき、wakamaruは録音した音声をサービスセンターに送信している
photo コンシェルジュサービスの受け付け画面。サービスセンターの中ではオペレーターが温泉宿を検索し、回答をwakamaruに返信する。それをwakamaruの音声読み上げ機能が案内する仕組みだ

 これらは、すべてデモ用に作られたシステムだが、ロボットがネットサービスやネット家電の優れたユーザーインタフェースになり得ることを示している。「ロボットビジネスは、まだ始まったばかり。市場を拡大するにはネットワークが必要だが、逆にネットワーク側もロボットを求めていると思う」(ソニー)。


 RSiの参加企業は、今のところ前述の3社のみ。ただし、既に「PaPeRo」のNECシステムテクノロジー、「番竜」のテムザック、気象関連サービスのお天気.com、ネットを介したコンシェルジュサービスを提供するディービーシー、そしてISPのニフティなどが賛同を表明している。

 今後は、広く参加企業を募り、5月中旬に設立総会を開催する計画だ。また2004年の中頃には、最初のプロトタイプを使った実証実験を行い、技術的課題を洗い出していくという。

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